喪に服す期間は?慣習の変化で短縮傾向に 知っておきたい喪中の過ごし方、専門家に聞いた

松田 義人 松田 義人

 

新年の挨拶ができなかったり、年賀状をおくることができないという喪中。「うち喪中なんです」と言われると、他人でもどういうわけか「……そうですか」と深刻になる感じがあります。「喪中」という響きの中に「弔い感」があり、軽く聞き過ごしてはいけない印象があるからです。

他方、身内の死を経験した家の人はどのように過ごすのが正しいのか、そしてその喪中の人に対して周囲はどう接すれば良いのかは、意外と知られていないようにも思います。今回は喪中における様々な疑問について、メモリアルアートの大野屋・仏事アドバイザーの川島敦郎さんにご回答いただきました。喪中の人もそうでない人も是非チェックしていただければ幸いです。

喪中は新年の挨拶や年賀状だけでなく、引っ越しもダメ!?

まず川島さんに、喪中の定義について聞きました。

「家族・親族・近親者が亡くなったとき、その死を悼んで弔うために、日常生活を制限して弔いの時間にあてることを『喪中』と言います。この間は、祝いごと、遊興、引っ越しを控えるようにし、普通の仕事と暮しをし、それ以外は死を悼んで弔う時間に充てて過ごすのが一般的です」

喪中では「新年の挨拶をしない」「年賀状を出さない」といったものだけでなく、祝いごと、遊興、引っ越しもダメというのは意外でした。また、その期間は現代では「1年(身内の誰かが亡くなった翌年の1年)」と考える人が多い印象ですが、正確には必ずしもこの縛りはないのだそうです。

「かつては、自分の親が亡くなったら3年喪に服していたこともあります。ただし、現代では通常の生活に影響があります。そのため、悲しい気持ちに区切りをつけ、通常の生活に戻るために、喪が明ける時期を『1年(1親等など)』と考えられてきましたが、この10年くらいの間で『3ヶ月(2 親等など)』と考えられるようにもなりました。

親等の数え方は、自分にとっての「親」は直接の関係なので1親等となります。自分にとっての兄弟は「親」を介しての関係なので2親等となります。つまり、現代では、親などが 亡くなった場合は 1 年喪に服し、兄弟などが亡くなった場合は 3 ヶ月喪に服すように、喪 中の捉え方や慣習が少し変わってきているように思います」

 

喪中にバレンタインチョコレートを贈っても良いかどうか

このように喪中の慣習は現代変わってきているわけですが、喪中の過ごし方は、前述の「祝いごと、遊興、引っ越しを控える」といったことのほかに、「神社の境内に入ってはいけない」といったものもあると川島さんは言います。

「神道の教えに基づく神社ですが、『境内には喪中の人は入っていけない』と言われています。『死は汚れ』という考えによるものですが、一方、仏教の教えに基づく『お寺は喪中の人であっても行って良い』と言われています。ただし、お寺に行く目的が新年の祝いなどはダメで、あくまでもなんらかの『感謝』の気持ちを伝えるために行くことに限られます」

うーん、なかなか厳しい制限があるようですね。前述の「祝いごとを控える」で言うと、たとえばお年賀・お中元・お歳暮などは誰かに贈っても良いのでしょうか。あるいはもうすぐやってくるバレンタインなどでチョコレートを贈るというのも良いのでしょうか。

「喪中は祝いごとを控えないといけませんので、お年賀のやりとりはダメです。ただし、お中元・お歳暮は感謝・お礼の気持ちなので送っても良いでしょう。むしろ、喪中期間は通年以上に他人にお世話になる機会も多いかもしれませんので、これはすべきでしょう。また、喪中の人に対してお中元・お歳暮などを贈る際は、赤白の水引きはつけずに無地ののし紙で贈ると良いでしょう」

 

「また、バレンタインですが、『好きな人に気持ちを伝える』という意味であれば喪中とは関係ないので、良いでしょう。ただし、バレンタインのパーティなどがあった場合、その賑やかな場に参加するというのは喪中は行くべきではないし、周りの人も誘ってはいけません。

さらに、節句のお祝いや結婚も『祝いごと』には変わりませんので、避けるべきです。ただし、例えばお子さんのひな祭・端午の節句・七五三や、結婚の場合の両家の事情などで、その年にしかできない場合は、忌中(神道=50日・仏教=49日)を過ぎていれば、お祝いするケースもあります」

喪中に意味もなく派手な服を着るのは御法度!

さらに川島さんによれば、喪中で「意味もなく派手な服装をするのはダメ」とも。

「江戸・明治時代の喪中は『晴れ着』などもダメでした。そもそも喪中期間中に、賑やかな場所には行かないため、晴れ着を着る必要もなかったのですが、現代では、喪中にどこかへ出かける場合は、行先やTPOに合わせた服装で良いのではないでしょうか。ただし、意味もなく派手な服装を着るのはダメです。あくまでも喪中は、亡くなった人の死をいたみ、ともらうための期間ですので、こういった気持ちを持ち過ごすようにしてください」

知らなかった話をいっぱい聞けましたが、川島さんによればこういった「喪中の過ごし方」に関するアドバイスもメモリアルアートの大野屋では受け付けているとのことです。今年喪中の方、喪中の人が周りにいる方は是非チェックしてみると良いかもしれませんよ!

メモリアルアートの大野屋「仏事Q&A」 https://www.ohnoya.co.jp/faq/

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース