財政難を訴え、さまざまな市民サービスの削減を打ち出している京都市で昨年、新たな広報用キャラクター「京乃つかさ」が250万円かけて制作され、物議を醸した。市と市の外郭団体には、既に約140のキャラが存在するという。京都新聞社はそのうち、104の画像を市から入手した。あなたはいくつ目にしたことがありますか。
市が有するキャラは、昨年末時点で約130体。いずれも市の施策に親しみを持ってもらったり、理解してもらったりする狙いで作られた。このうち約30体は「市以外での使用が許可されていない」「新聞掲載には著作権者との協議が必要」(いずれも市長公室広報担当)などの理由で画像提供を受けることができなかった。
市の外郭団体である市生涯学習振興財団や市国際交流協会が管理する10体ほども別にあるという。
局ごとにみると、直接的に市民と向き合う環境政策局や保健福祉局にキャラが多かった。名称は、上京区の「かみぎゅうくん」や統計解析担当の「加統家の人々」など、京都の地名や事業の名前に由来するものが目に付いた。
デザインは違うものの、名前が同じキャラも発見した。保健福祉局は「犬」、交通局は「市バス」をモチーフにしているが、いずれも「京ちゃん」という。
毎月、約65万部発行される広報紙「市民しんぶん」には、どれほど掲載されているのだろう。2021年1月1日号から12月1日号までの「全市版」をめくったところ、1回でも登場したのは17体で、全体の1割強にとどまった。せっかく生み出されたキャラ。より多くの市民の目に触れ、市の施策をアピールしてほしいものだ。
市民が最も目にする「市民しんぶん全市版」でも登場回数がほぼないキャラがいることについて、市広報担当は「キャラクターは特定の事業をPRするために作られたものが多い。対象の事業を紹介する際には掲載している。市民しんぶんに掲載がないからといって活用されていないわけではない」としている。