三重県はいつから近畿地方に含まれているのか教えてほしい-。孫の地図帳を見て驚いたと語る60代男性から、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」にLINEを通じて困惑の声が寄せられた。地図を撮影したという写真は、近畿地方に色分けされた三重県がはっきりと写っている。近畿地方は「2府4県」か「2府5県」か。調べてみた。
投稿者は、滋賀県彦根市在住のパート男性(65)。今夏の全国高校野球選手権で近畿勢が4強を独占したことについて、同居する孫で市立小4年の男児と話していた際、男性が「近畿地方にいくつの府県があるか」と尋ねると、男児は三重県を含めて「七つ」と答えた。男性が「三重県は中部地方だ」と伝えると、男児は「近畿地方だと学校で習った。地図帳にも書いてある」と反論したという。
男性は「高校野球の近畿大会に三重県の学校は出場しない。近畿地方は2府4県だと認識していた」と戸惑う。
男児が使用する地図帳の発行元「帝国書院」は、明治時代の国定教科書が三重県を近畿地方に組み込んでいたため、創立当初から教科書や地図帳で三重県を近畿地方と紹介する。「近畿」は「畿内とその周辺地域」という意味とされ、関西弁に含まれる方言を使うなど文化面で深いつながりがあることも理由という。
帝国書院によると、三重県を近畿地方としている学校教材が多いものの、地方区分は一律に定まっているものでなく、教材の地方区分の表記も各社の判断にゆだねられている。
帝国書院は「三重県は愛知県との結びつきも強く、明確に分けることはできない」としたうえで、「京都府や大阪府の人は三重県が近畿地方に含まれることに違和感があるようで、実際に連絡を受けることもある」と明かす。
では、当の三重県はどう考えているのか。政策提言・広域連携課は、三重県が「近畿圏整備法」と「中部圏開発整備法」の対象地域に含まれていることや、国土交通省の近畿地方整備局と中部地方整備局の管轄である点などに触れ、「両方に属していると思っている」と説明した。知事会についても、近畿ブロック知事会と中部圏知事会の両方に参画しているという。