新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、19日夕方に突如要請された「兵庫県と大阪府の間の往来自粛」に、両府県はもちろん関西一円が騒然となった。Twitterなどでは「いや普通に考えて無理やろ」「(府県境にある)伊丹空港の利用者どうすんねん」などのツッコミが飛び交い、兵庫から出ることを事実上封じられたと受け止めた約546万人の県民たちは、「翔んで埼玉」ならぬ「#翔んで兵庫」というハッシュタグで地元ネタ合戦を開始。この非常事態、せめてTwitterくらいは明るく楽しんでやろうやんけという空気が生まれている。
伝わるかな?兵庫あるある
・兵庫県民にはいかなごのくぎ煮でも食わせておけ!
・『ホテルニュー淡路』『有馬兵衛の向陽閣へ』を歌わずに読むことができない
・「体操の隊形に開け!」と言われるとつい「ヤー!」と叫んでしまう
・回転焼き、今川焼きを「御座候」と呼ぶ
・モロゾフのプリンの容器をコップとして使いがち……
「#翔んで兵庫」には、こうした“兵庫あるあるネタ”が続々と寄せられている。
関西以外の人には伝わりにくいかもしれないが、地元紙「神戸新聞」などによると、瀬戸内海と日本海に面し、海と山、都市部と過疎地を抱える兵庫県は、「日本の縮図」と呼ばれることもある。もともと摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の旧五国が集まってできたという経緯もあり、良くも悪くも「県のイメージがひとつにまとまらない」のが特徴といえば特徴だ。
ヒョーゴスラビア連邦がついに…?
この多様性から、インターネット上では多民族国家の旧ユーゴスラビアになぞらえて冗談半分で「ヒョーゴスラビア連邦」と称されることも。また、あまり知られていないが、実は兵庫県は昨年2月、PRの一環として県名を「兵庫五国連邦」に改称している。同時に「U5H(ユナイテッド・5コク・オブ・ヒョウゴ)」と銘打ったプロジェクトを立ち上げ、特設サイトで「あるあるネタ」を募ったり、街頭にポスターを掲示したりしながら、兵庫県の多彩な魅力の発信に努めているのだ。
「#翔んで兵庫」の盛り上がりの背景には、兵庫県特有のこうした事情もある。往来自粛要請により、兵庫県民のねじくれた郷土愛が火を噴き、明治時代からの悲願であった“県民の一体感”なるものがついに生まれた、という見方ができないこともない。…こともない。ないか。ないです。