カニが美味しい季節です。日本各地でズワイガニ、タラバガニ、毛ガニなど、様々なカニをいただけ、特に北海道産などをイメージされる方が多いと思います。しかし、日本屈指のカニ生産地は鳥取県で、エリア外の人にはその内情があまり知られていないことも事実です。
鳥取県は「カニの水揚げ量日本一」「カニの消費量日本一」「新鮮活ガニ出荷日本一」「カニの牧場面積日本一」「カニにかける想い日本一」と、5つもの「日本一」を獲得しており、県を上げて「蟹取県ウェルカニキャンペーン」なども実施しています。同県のカニの秘密と、代表的銘柄・松葉カニの特徴に迫ります。
鳥取県で水揚げされるカニの種類は大別して4種ある
まず、鳥取県で水揚げされるカニの種類から見ていきましょう。大別して鳥取県では4種のカニが水揚げされ流通しています。
●紅ズワイガニ……境港漁港で水揚げされる紅ズワイガニは全国の6割とも言われ、その取り扱い量は日本一となっています。紅ズワイガニはその名の通り、鮮やかな紅色が特徴で、漁期は例年9〜6月になります
●松葉がに……成長した雄のズワイガニの山陰地方での名称で、鳥取県を代表する冬の味覚の王様として知られています。漁期は例年11月上旬から3月中旬。甲羅の黒い粒(カニビル)は脱皮して十分成長した証です
●若松葉がに……脱皮して間もない雄のズワイガニ。松葉がによりも価格がリーズナブルであることが多いです。漁期は例年2月頃
●親がに……資源保護のため漁期は例年11月上旬から12月に限定されるカニ。手頃な価格で買えるため、鳥取県の家庭でよく食べられています
これら4種のカニのうち、価値も人気もあるのが松葉がにで、他県で言うところのズワイガニと同種でありながら、鳥取県産ならではの、品の良い口当たりと甘さを感じることができるとのこと。これは是非とも食べてみたい!
東京ではなかなか口にすることができないカニの刺身
というわけで鳥取に出向く機会があった筆者、その松葉がにを、鳥取市内の海鮮料理店でいただきました。
まず、驚いたのが松葉がにが「生」で出されたこと。東京在住の筆者にとって、「カニ」と言えば、すでに茹でられ真っ赤な甲羅のものをイメージしますが、鳥取県では刺身の状態でもいただけるようです。これはなんとも贅沢です。
さっそく刺身でいただきましたが、あっさりとした口当たりでありながらも、ほのかな甘さで日本酒がグイグイ進みます。さらに、刺身でいただけるということは、しゃぶしゃぶでもいただけるということで、今度はしゃぶしゃぶに……。
火が入ると、その味はさらに濃厚となり、瑞々しい甘さがさらにアップしたように思いました。もちろん、茹でたカニもプリッとした食感で臭みがいっさいなく、そしてカニの甲羅を使った蟹味噌焼きも、濃厚でありながらやはりどこか上品な味。東京で多く流通している茹で済の冷凍モノとははるかに違う味でした。
カニ殻を使ったスキンケアアイテムもある!
一気に鳥取県の松葉がにのファンになった筆者でしたが、冒頭で触れた「蟹取県」の意味も合わせて十分理解することができました。
鳥取県にはこれらのカニを使った加工食品なども多くある一方、カニ殻を使ったスキンケアアイテムなどもありました。
鳥取県のカニ押しの理由がよくわかりました。肝心の松葉がには、旬の3月頃まで鳥取県内でいただけることに加え、各業者さんは全国への発送も行っているようです。特に関東圏ではなかなかお目にかかれない鳥取県の松葉カニ、是非一度食べてみてください。品が良く、美味しい味に驚愕するはずですよ!