大阪のタワマン事情、購入者は富裕層ばかりじゃない 「居住用7割、資産運用目的3割」 

藤原 玉美 藤原 玉美

 大阪市内でタワーマンションの売買実績1位(2020年、店舗別)を誇り、「TOWERZ」のブランド名で展開する株式会社「ES&Company」(大阪市中央区)が11月26日、淀屋橋に体験型ギャラリー「TOWERZ Gallery御堂筋本店」をプレオープンさせた(グランドオープンは来年1月下旬予定)。資産価値が高く、投資目的で購入を検討する人も多いという噂のタワマン。やはり庶民には高嶺の花なのか。

 大阪随一の目抜き通りにオープンした「TOWERZ Gallery御堂筋本店」は新築と中古のタワーマンションや海外リゾート物件購入の相談ができる国内唯一の施設というのが売りだ。

 250インチ画面で同社が扱うタワーマンション専用仲介ブランド「TOWERZ」や会社を紹介する動画が見られるデュアルシアターや高級ソファに座り、ボタン一つで目の前の大画面で新築タワーマンションの高層からの昼夜の眺望を体感できるデジタルモデルルーム、商談や休憩など自由に利用できる顧客限定のオーナーズサロンなど様々なスペースが用意されており、来年1月下旬のグランドオープン後、本格的に使用が開始される。

 また企業や団体とのコラボレーションをテーマに掲げ、SDGsへの取り組みとして社会貢献や地域共生を実現する場所としても活用。外から鑑賞できるミニギャラリーでは定期的に展示を変更する。

 その第1弾として一般社団法人「障がい者自立推進機構」と協力してパラリンアートの展示を行い、障がい者支援の活動も行っていく。また、来年3月には入り口前に同じビル内にあったカフェに委託して「タワーズカフェ」もオープン予定。地域の人々も利用できる場所作りを提供する予定だ。

 そんな立派な場所に進出した株式会社「ES&Company」だが「TOWERZ」というブランドは誕生してまだ3年半。2017年11月に中岡真吾CEO(代表取締役)の自宅の1LDKマンションの1室からスタートした。

 タワーマンション売買専門に舵を切ったのは創業半年後。その背景にあったのは、大阪市内の中古タワーマンション取引件数が、この10年ほどの間に約4倍のマーケットに成長していることだった。そこで集中的にエリアから取っていこうと考え、大阪市西区のタワーマンションに専念。2018年西区エリアでタワーマンションの販売実績1位になり、四ツ橋にギャラリーを構えると、1年で大阪市内の店舗別売上2位へ躍進した。

 そこから、ホールディングス化をし、他社にはないタワーマンションに特化したサービスを提供。タワーマンション販売実績大阪1位の会社へと成長し、御堂筋沿いに路面店を出すまでになった。

 しかし、今回、御堂筋の路面店に居を構えるにあたってはかなり苦労したという。

 「不動産業という業種について、どこのビルオーナーも渋い表情。しかも、社歴も浅いので最初は全くダメでした。しかし、懇意にしている方々にいろいろアドバイスと指導を受け、『我々はビル内コミュニティを一番大事にして地域協賛で御堂筋の発展に寄与します。中小企業をまとめる会社になるためコミュニティを作って地域協賛していきます』とプレゼンしたところ、不動産業者だが、他とは違うということが認められ、審査を通過しました」と中岡氏は話してくれた。

 また、同社の理念である「Total Satisfaction―すべてのプロセスに満足を―」を具現化すべく、パラリンアートとのコラボレーションは社員の自慢や自信になると思って取り組むことを推進した面もあるという。

 顧客満足だけではなく社員満足も大事にしている同社では、会社の機能も地下1階に構え、事務所内はフリーアドレスに。休憩室には、シャワーブース、仮眠室、マッサージチェア、そして近日オープン予定のゴルフ練習場やドリンクカウンター、ダーツやトレーニングスペースなどを整え、「小さいGoogleみたい」と中岡氏は話す。

 社員の方々も今回のオープンを喜んでおり、プレオープンでは中岡氏からプレゼントされたネクタイと各自オーダーしたスーツを着用し、いきいきとした表情と統一感のある装いで場を華やかに盛り上げていた。

大阪市内はタワマン新築ラッシュ、現在145棟も!

 さて、そんな華やかな場所で販売されているタワーマンションの現状を聞いてみた。現在、大阪市内は新築タワーマンションの建設ラッシュだそうで、この1年で14棟建設されて現在145棟(同社調べ)。購入者層は富裕層ばかりではなく、半分以上が30代、40代以降のサラリーマン。居住用として購入の方が約7割で、資産運用目的としては約3割だそうだ。

 しかし、居住用と言っても終の棲家という意識ではなく、年齢とともに変化する暮らしに合わせ、10年以内に移り変わる方がほとんどだという。

 「当社がタワーマンションを選んだのは、今後お客様に勧めるべき資産性があるから。大阪市のタワーマンションのマーケット情報は新型コロナウイルスの影響で価格が1回下がりかけたのですが、タワーマンションだけでデータを取ると平均して10%ぐらいの差で留まっていて、中には値下がりしていないものもある。

 やはり経済変化に強く、資産性を損ない難いマンションだと言えます。 また、賃料も他のマンションより高く取れるので投資効率がいいし、相続税の圧縮効果が非常に高くて相続対策にも有効な資産であると言えます」と中岡氏は言い切る。

 同社では、今後はホールディングスとしてまずグループ拡大を目指すとともに大阪市内のタワーマンションのマーケットにおける同社保有率15%を20%へ拡大を目指す。そして、北摂や阪神間など、エリアを徐々に拡大していくことを考えている。

 また、タワーズリゾートもスタートさせ、まずはマレーシアのマラッカに建設中の9棟からなるリゾートマンション「THE SAIL」の販売もここで行っていき、次はハワイのリゾートマンションも取り扱うなど世界展開を目指す。

 最後に芝崎健一COO(最高執行責任者)に”タワマンあるある”を聞いてみた。

 「高層階に住んでいると外で雨が降っていることがわからない。何で判断するかというと下を見て傘を差しているかどうか」とのことでした。まさに雲上人ということでしょう。一度言ってみたいものです。

 タワマンとは、おおよそ20階建て以上の超高層で大型のマンションを指す。タワマン体験をしたい、買ってみたいとお考えの方、同社では相談に来られた方にはタワーツアーというサービスを実施しており、高級車で半日かけて実際の物件をいくつか見て回ることもできる。ぜひ、この機会にご相談に行かれてみてはいかがだろうか。

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