日本では最近、会社の忘年会に行きたくないという話題が注目されているようですね。Twitterでも「会社の忘年会」「忘年会行きたくない」というキーワードを見かけました。台湾にも忘年会はありますが、日本とはかなり様子が違っていて「行きたくない」という声をほぼ聞きません。台湾ではなぜ会社の忘年会に行きたがるのでしょうか。
台湾の忘年会は1月
台湾の忘年会は「尾牙(ウェイヤー)」と呼ばれ、毎年1月に行われます。台湾の正月は西暦ではなく旧正月だからです。毎年1月末~2月中旬に1週間ほどの休みがあります。日本と違って、12月31日までが通常出勤日で1月1日のみが祝日です。年末年始に長期休暇がある生活に慣れてしまっていると非常にショックです。筆者も台湾に移住した8年前は、母国や欧米在住の友人たちが休暇を楽しんでいる様子をSNSで見るたび、通常通りに仕事をしていることが苦痛で仕方ありませんでした。
社員の一番のお楽しみ「紅包」って?
台湾では日頃から「会社の飲み会」がほぼありません。取引先や出張者の接待で食事する事はあるものの、普段は皆さん仕事が終わればそそくさと家に帰る生活なので、会社の人たちが集まってパーティーをするというのは珍しい事。そのため、多くの会社にとって尾牙は年に一度の会社のパーティー。会社の規模にもよりますが、それはもう皆さん気合が入り、かなりド派手なパーティーをします。
大きい会社だとホテルの宴会場を貸し切って芸能人が司会をしたり、エンターテイメントのショーをしたり。中小企業の場合は、レストランの個室を貸し切って行うのが一般的。家族との距離が近い台湾ならではですが、家族や恋人も出席してOKな会社もあるようです。
忘年会のメインは食事ではありません。社員が一番楽しみにしているのは「紅包(ホンパオ)」です。紅包というのは日本でいうところの「ご祝儀」。ちなみに台湾のお年玉も紅包と呼ばれています。また、結婚式などでも真っ赤な封筒にお金を入れて渡します。
忘年会では抽選の景品として、さまざまな金額の入った紅包の封筒が用意されています。台湾はIT系や半導体産業の企業の景気がいいので、儲かっている会社は尾牙の豪華さも半端ないようです。実際に参加した知人によると、現金の相場は1万〜3万円程度のようですが、最高額は5万元(現在のレートで約20万円)ということもあったそう。他にも日本への航空券や、テレビやロボット掃除機、Apple製品など盛りだくさんだったそうです。
台湾では1月になると「尾牙で何元もらった!」という会話があちこちで交わされます。強制ではないのにみんなが出席したがるのはこのためでした。
豪華な忘年会、もう1つの理由は…
裏話ですが、企業が尾牙を盛大に行う理由には、社員をつなぎ留めておく意味もあるそうです。転職率がとても高い台湾ではいい社員をキープするのは至難の業。豪華な景品を用意して「来年もまた尾牙あるからね」とアピールするのだとか。
日本と似ているようでいて全く違う台湾は、住めば住むほど発見があります。