8月下旬に東京都内のコンビニエンスストアで、絵柄が「聖徳太子」である旧1万円の偽札が相次いで使われていたことが判明したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は1日、当サイトの取材に対し、コンビニ等を狙った組織的な犯行と推測した。
新宿区内のコンビニで8月26日、旧1万円の偽札が使用され、不審に思った店員が翌日に通報した。警視庁によると、同21日から26日にかけ、都内のコンビニ約40店舗で、絵柄が聖徳太子である旧1万円の偽札が使われ、約50枚が確認されているという。
夜間にコンビニを単独で訪れた男性や女性が菓子など数百円程度の商品を購入し、偽の1万円札を出して釣り銭を受け取る手口だという。 警視庁は組織的な偽造通貨行使事件の可能性もあるがみて捜査している。
なぜ、現在使われている福沢諭吉の絵柄ではなく、昭和の時代に発行された聖徳太子の絵柄なのだろうか。
小川氏は「犯行は、いずれもコンビニでの使用である。コンビニには外国人のアルバイト従業員が多く、日本人のアルバイト店員の場合でも若い者が多い。このタイプの旧1万円札は、1958年-86年に発行されていたもので、若い人は聖徳太子の旧1万円札を知らず、見たこともない人が多い。知らないので、最初は『あれ?』と思っても、スタッフに『使えますよ』と言われたら、そうかと思ってしまう。それを狙った発想ではないかと思われる」と分析。さらに「デパートや銀行で使うと直ぐにバレてしまうが、コンビニでなら…という狙いだと思います」と解説した。
一方、その偽札技術について、小川氏は「透かしもあって、かなり精巧です。個人がカラーコピーしたレベルではなく、ある程度、組織的な犯罪であることが考えられる」と指摘。「今回、警察が発表した枚数以上が出回っていることが考えられる」と付け加えた。
ただ、今回の報道によって状況が変わるという。小川氏は「コンビニは全国チェーンですから、今後は『聖徳太子の1万円札には注意』という連絡が回され、もう、この偽札を使うことはできないでしょう。使えばすぐ足が付きます」と解説。今後の行方に注目した。