トレイにのせたパンをAIが自動で認識し、合計金額を計算してくれる画像識別レジ。大手ベーカリーチェーンをはじめ、最近ではいわゆる“町のパン屋さん”でも導入が進んでいるので、体験されたことのある方も多いのではないでしょうか。
そんな画像識別レジが起こした“かわいすぎる誤認”を描いたマンガがツイッターで注目を集めています。
投稿したのは斗々窪(@boat_10ku)さん。最近オープンした近所のおいしいパン屋さんに立ち寄ったところ、いつもはサクサク進むレジがほんの少し滞っていたそうです。目の前で会計をしていたのは、小さな子どもを連れたお母さん。そこで聞こえてきたのは、
「お客さま…お子様のお手がクリームパンでスキャンされています…」
という、ちょっぴり困惑した様子の店員さんの声でした。
レジカウンターにちょこんとのった子どもの手を、グローブ型のクリームパンと誤認してしまった画像識別レジ。優秀なAIのかわいすぎるミスに、斗々窪さんも思わずほんわかしてしまったそうです。
この投稿には「可愛すぎますね」「小さい子どもの手はみんなクリームパン」「機械もわかってんじゃん」などのコメントと共に、7.8万件のいいねと、2.4万件のリツイートがつきました。斗々窪さんにお話を伺いました。
レジ周辺が和やかな雰囲気に
――手をクリームパンと認識されちゃったのは何歳くらいの子どもさんでしたか?
4歳くらいの女の子です。レジ画面には、スキャンされたパンがそれぞれ緑色の線で囲まれて表示されるのですが、子どもさんのかわいらしい手も緑色の稜線で囲まれていました。
――店員さんも困惑されている様子だったとか。
困惑しつつも笑いながらお伝えしていました。お母さんも少し苦笑しながら「すみません~」と娘さんの手を下ろしていて、和やかな雰囲気でした。
――和んでしまうミスですよね。機械なのに人間っぽいというか…。
そうですね。会計にほぼ時間を取られない優秀なレジで、以前からすごいなあと思っていたのですが、初めてミスを目撃しちゃっておもしろかったです。ふっくらした子どもの手はよくクリームパンに例えられますが、「機械が誤認するほどにクリームパンだったのか…!」と和みました。
メーカー「学習を重ねることでミスはなくなります」
斗々窪さんを和ませたこのレジは、画像識別レジ国内トップシェアの株式会社ブレイン(兵庫県西脇市)社製のもの。誰もが知る大手雑貨店やベーカリーチェーンでも多数導入されています。
かわいらしい誤認がSNS上で話題になっていることを担当者に伝えると、「あまりよくないことなのですが、一番似ている商品をAIが識別するので、こういったことも起こり得ます」と回答してくれました。
このレジはパンの形状や色、表面の模様などから商品を識別する仕組み。そのため、商品に似たものが撮影範囲にあると、パンとして識別されることもあるそうです。ミスをその都度修正していくことで識別精度が上がっていくので、今回の出来事はオープンから間もないこの時期だからこそ見られた貴重なミスとも言えそうです。
「こちらの店舗にこのレジが導入されたのは5月末ですので、これから学習を重ねるごとに、こうしたミスは徐々になくなっていきます。機械には、まだまだ勉強をがんばってもらいたいと思います」(担当者)。
斗々窪さんによると、このかわいらしい誤認があっても、会計はその後とてもスムーズに進んだのだとか。
「このレジは会計がとても早いので人が密集した空間に長居しなくて済みますし、セルフ清算というところも感染症予防の面で安心です。混んでいても焼き立てをすぐに買って帰れるし、個人的にはAIレジ万々歳です」(斗々窪さん)。
経験がまだ浅い、“若い”レジだから起こったと思われる今回のかわいらしいミス。まるで人間のような“目”がいずれなくなるのはちょっぴり寂しい気もしますが、感染症予防のためにも、忙しい人のためにも、どんどん経験を積んでポテンシャルを発揮していってほしいですね。