「本を注文したんですが、まだ届きません」「メールアドレスを変えたんですけど…」。京都市内のある喫茶店に数年前から、インターネット通販の利用者たちから間違い電話が頻繁にかかってくる。店主は「おもしろくないですよ。困っています。土日はうちも結構忙しいんですが、そういうときに限ってかかってきて…」と頭を抱える。喫茶店の店名は「コーヒーショップ アマゾン」(東山区)という。
店は、現店主の立石裕則さん(58)の父が1972年に創業した。店名の由来は「屋号に『ン』を入れると運が良くなる」という験担ぎと「ゆったりと滞りなく流れるアマゾン川のように途切れずに続いていくように」という願いを込めて付けたという。
店の近くには京阪電鉄の七条駅や京都女子大、三十三間堂があり、地元住民はもちろん、大学生や観光客にも長年愛されてきた。
「コーヒーショップ アマゾン」にインターネット通販サイト「アマゾン」の利用者たちから間違い電話がかかってくるようになったのは2、3年前のことだという。多い時には月10回ほどあり、応対していると常連客から「またか」と言われるように。
「『こちらは喫茶店です』と答えても『ああ、喫茶部門の方ね。カスタマー部門につないでいただけますか』と言われたこともあって。『個人の喫茶店なんです』と説明すると、電話を切られてしまいました」
立石さんはそう苦笑いする。
間違い電話が頻発している理由はよく分からないままだ。立石さんは「確かめたことはないですが、104(電話番号案内)で案内されてかけてきているんじゃないでしょうか」と推察する。
混み合っている時に間違い電話がかかってくると腹立たしく感じることもあるというが、「自分も電話に出るときについ『アマゾンです』と言ってしまうから良くないですね。今度から『喫茶アマゾンです』と言うようにします」と話していた。