17歳になった恐がりのワンコ。音はもう聞こえなくても「ずっと足元に」 老犬との優しい時間を描いた漫画に反響

広畑 千春 広畑 千春

 かつては外飼いが普通だったワンコたちも、室内飼いが主流になり、それとともに長寿化が進んでいます。若い頃のようにはしゃぎ回ったり、飛び跳ねたりすることはもうできなくても、老犬とのゆったりと柔らかく流れる時間は、かけがえのないもの。17歳になったワンコと暮らすある女性も、そんな愛犬との時間を愛おしむ飼い主の一人です。

ずっと足元に

 今月10日、「臆病で恥ずかしがり屋のウチのワンコは、17歳になりました。17年一緒にいます。17年間、足元にいます」とイラストとともにTwitterに投稿した、ワンコ17歳(@wanco15sai)さん。そこには、小さい頃母犬の前脚の間から離れなかったワンコが大きくなり、それでも雷や雪の落ちる音に怯えて飼い主さんの足元に隠れていた姿が。

 そして17歳になった今、もう雷の音も雪の音も聞こえなくなったワンコは、それでも変わらず飼い主さんの足元に寄り添っています(散歩中にくたびれて)。

 優しいタッチで描かれたこのツイートには9.6万件ものいいねが寄せられ、「涙が止まらなくなりました」「たくさんの思い出と、飼い主さんとの絆に涙…。わんこ、かわいいなあ」「お誕生日おめでとう。長生きしてね」と次々にリプライが。同じく老犬と暮らす人や、虹の橋を渡った愛犬を思い「とてもとても、亡くなった犬に会いたくなりました。これからも元気に優しい時が流れますように」といったコメントも寄せられています。

新聞の「もらってください」欄に出ていた、柴の雑種の女の子

 飼い主さんにお聞きしました。

-ワンコちゃんとの出会いを教えて頂けますか?

「今はあまり見かけなくなりましたが、17年前の新聞の『もらってください』欄に出ていました。面会に行った時、一番小さくて母犬から離れず、他の方に引き取られずに残っていた子でした。なかなか親離れできず、3カ月すぎる秋まで待って、お迎えしました。柴犬の雑種の女の子です」

-昔から、音が苦手だったのですね。

「若い頃から雷や雪の音はもちろん苦手でしたが、花火も大嫌いでした。夏祭りの打ち上げ花火の音に驚いて家を脱走し、夏祭りの夜の街を家族で探し回ったりしました(祭り会場から遠く離れた橋の下にいました)。ゲリラ豪雨の音にも怯えて、土砂降りの雨の中、また脱走したこともありました。必死に探しましたが、雨が止んだら帰ってきました。花火の時も豪雨の時もワンコが一人でお留守番中で…。もう脱走しないようにゲートを高くしたり工夫したんですが、まさかの畳に穴開けたり、戸に穴開けたり…。臆病なんだけど、大人しくはなかったですね(笑)」

お世話は大変なのに、なぜかとても嬉しい気持ちに

-人間でも、理由が分かっていないと怖いですもんね(笑)。体の衰えを感じられるようになったのはいつ頃からでしょう。

「13才が14才ころに患った『前庭疾患』という病気が、ワンコの変化のきっかけでした。急にふらふらし、嘔吐下痢を繰り返す病気です。大好きな散歩も、うまく歩けなくなりました。治療で回復し、少しずつ歩けるようになりましたが、目の前のジャーキーが見えなくなったり、雷が鳴っても無関心になったりしたのはこの頃からです」

「いつも当たり前にできていたトイレの失敗が増えたり、小さな段差も登れなくなり、散歩中にくるくる周り出したりし始めました。でも、トイレが綺麗になるととても嬉しそうにしたり、登れない段差の前で困った顔したり、ものすごく一生懸命くるくる回るのを見ていると、お世話は大変なのに、なぜかとても嬉しい気持ちになります」

-“介護”が必要になって、改めて気付いたことはありますか?

「子犬の頃や若い頃と比べて、何か変わったかというと、ワンコも飼い主も、同じように歳とっただけ、と言うのが正解かな?と思います。いつもワンコは可愛いですが、いつもお世話は大変で、いつも楽しいです」

-大きな反響がありました。

「ただただ驚いています。老犬の可愛さを知ってほしいと思い、tweetを描いていたのですが、コメントをくださる方のほとんどが、すでに老犬との暮らしを経験されている方でした。老犬が可愛いのは、もうみんな知ってるのかもしれないです。だって何しろ可愛いもんで(笑)。保護犬たちの問題が少しずつ世の中に認知されるようになり、老犬との暮らしがどんなものか、犬を飼ったことがない人の目にも届くようになったのは、大好きな飼い主さんの元で暮らし、歳をとって、天国へ見送られた多くのワンコ達の力(ワンコ達の飼い主さんへの愛)なのかもしれないな-と思いました」

10年で犬は0.7歳、猫は0.5歳長生きに 室内飼いも影響

 飼い主さん曰く、この半月ほど前にも、食事に付き添いが必要になったワンコとの、心温まるツイートが反響を呼んだばかりだそう。

 ペット保険最大手アニコム損保を傘下に持つアニコムホールディングスの「家庭どうぶつ白書2019」によれば、2008~2017年の10年で、犬の平均寿命は0.7歳伸びて14歳に、猫の平均寿命も0.5歳伸びて14.2歳になったそうです。人間でいえば、犬は4~5歳、猫は3~3.5歳伸びたことに。一般的に、室内飼いで気温差や風雨などの環境ストレスが減っただけでなく、飼い主との距離が近くなり、寄生虫や病気などの早期発見早期治療に繋がっていることも理由の一つといわれています。

 17歳になったこのワンコちゃんについて、「臆病でわがままでツンデレですが、家族想いで、よく私の愚痴を聞いてくれます。今も。多分聞こえてはいませんが(笑)」と飼い主さん。「今回のツイートにコメントくださった方も、それぞれ一緒に暮らしたワンコのことを思い出しておられました。皆さんの心に、特別な存在としてずっと一緒にいるんですね。多分、ワンコが亡くなっても、それは変わらないんだろうな、と思います」とも。

 犬でも猫でも、鳥でもハムでも、きっとは虫類や昆虫、魚たちでも。あなたの心に、今も一緒に住んでいるのは、どんなコですか?

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