もうすぐ夏休みになりますね。給食がなくなる夏休みは、働くママたちにとって「お昼ごはん」の用意が必要になる「試練の季節」です。学童保育、塾の夏期講習、またはママが不在の自宅で食べるために、子どものお弁当をつくる機会が増えますが、夏は暑くて湿度も高いから食中毒が気になりますね。傷みにくいお弁当づくりのポイントを、おいしくなる裏技とともに食育アドバイザーで食生活アドバイザー、幼児食インストラクターでもある筆者から紹介します。
食中毒菌を「つけない」「ふやさない」「やっつける」
傷みにくいお弁当といえば、ご飯の真ん中に梅干を置いた、日の丸弁当を思い出すママが多いのではないでしょうか。しかし梅干の殺菌作用は、梅干が接している部分しか効果が期待できません。殺菌効果をより高くするためには、日の丸弁当よりも、梅を細かく刻んでごはんに混ぜることをお勧めします。
また、梅干は夏のお弁当に重宝したい食材ではありますが、子どもは酸味が苦手な場合が多いのでむずかしいですね。子どもが嫌がらず、手間もなるべくかけずに、傷みにくいお弁当をつくるには、どんな工夫が必要でしょうか。
まずは、食中毒の予防法を確認しましょう。食中毒の主な原因は、細菌とウイルスです。特に夏場に発生しやすいのが、細菌が原因となる食中毒です。
食中毒を防ぐ三原則は、細菌を「つけない」「ふやさない」「やっつける」ことです。
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【1】つけない
食材に食中毒菌をつけないようにします。食材だけでなく、キッチンや調理器具、食器やお弁当箱もしっかり洗って、清潔を保ちます。調理前に、必ず手を洗いましょう。
【2】ふやさない
食材についた食中毒菌を増やさないようにします。食中毒菌が繁殖しやすい環境である20~40℃で水分が多い状態を避けます。食材は低温で保存して、生鮮食品やお総菜を買って帰宅したら、なるべく早く冷蔵庫に入れましょう。お弁当を保管する環境も、保冷剤などを活用して高温多湿になることを防ぎます。
【3】 やっつける
食中毒菌は、加熱すれば死滅するものがほとんどです。食材の中心部まで、75℃以上で1分以上加熱します。また、調理器具も洗剤でよく洗った後に加熱して殺菌しましょう。
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なお、冬場に多くみられるのはウイルス性の食中毒です。ウイルスは食材の中では増えませんが、キッチンにウイルスを「持ち込まない」、食べ物や調理器具に「広げない」、食べ物に「つけない」、付着してしまったウイルスを加熱して「やっつける」…の4点に注意します。
食中毒菌が増えやすくなる「水分」を防ぐ
テレビや雑誌、SNSでママがお弁当を用意する様子を見て「それ、食中毒予防にはNGだよ!!」と突っ込みたくなることがよくあります。
特に多いNGポイントが、水分対策です。お弁当箱に詰める際には、食材の水分をふいたり、おかずを煮つめたりして水分や汁気をよく切りましょう。水分が多いと食中毒菌が増えやすくなるので、夏は特に注意が必要です。
お弁当づくりの水分対策で、うっかりしがちな4つのポイントを紹介します。
▽お弁当箱に詰める前に、別のお皿に入れてよく冷ます
炊飯器から直接お弁当箱にごはんを詰めていませんか。ごはんやおかずを温かいままお弁当箱に詰めると、蒸気がこもって水分となってしまいます。ごはんもおかずも、お弁当箱に詰める前に別のお皿でしっかり冷ましましょう。
▽ミニトマトのへたは取る!!
お弁当箱のすき間を埋めてくれる強い味方といえば、ミニトマトです。いろどりをよくするためなのか、ミニトマトのへたをつけたままいれているお弁当箱をよく見かけます。
ミニトマトのへたは、水分や細菌がついていることが多くあります。お弁当に入れるときはもちろん、できれば買ってきて冷蔵庫に入れる前にへたをとることをお勧めします。また、ミニトマトについている水滴はしっかりふき取りましょう。
▽仕切りに便利な葉物野菜は要注意!!
お弁当のいろどりをよくするために葉物野菜を仕切りに使いがちですが、夏は使用を避けたほうがよいでしょう。葉物野菜から水分が出てくるからです。
仕切りやいろどりのために便利なバランやミニカップは、抗菌作用のあるものが100円ショップでも販売されていますので、活用してみませんか。
▽マヨネーズは食べる直前にかける
子どもが大好きな味といえばマヨネーズ。しかし、マヨネーズをかけて時間が経つと水分がでてきてしまうので、夏のお弁当づくりでは注意が必要です。
お弁当にマヨネーズやドレッシングをつかいたい時は、食べる直前にかけるようにしましょう。夏休みに自宅でお弁当を食べるのならば、普段使用しているものを食べる直前につかいます。学童などに行くときは、小分けになったものを用意することをお勧めします。
お弁当の水分を防ぐ裏技「吸わせる」
お弁当の大敵である水分を防ぎながら、おいしくなる裏技を紹介します。
かつおぶしを混ぜて水分を吸わせるとお弁当が傷むことを防ぐだけでなく、かつおぶしのうま味でおいしさアップの効果も期待できます。私はお弁当づくりのメニューに迷ったら、まず「かつおぶしを混ぜられるか」検討します。安全でおいしくなって、手間もかからないのでお勧めです。
かつおぶしのほかにも、高野豆腐やとろろ昆布、すりごまなど、水分を吸ってくれるうえに味わい深くなる食材はほかにもありますよ。
子どもには待ちに待った楽しい夏休みですが、働くママには暑くて長くて、お弁当づくりも増えて苦労が耐えません。忙しい朝にお弁当の用意をするのは大変ですが、今回ご紹介した食中毒予防のポイントに注意して、傷みにくいお弁当づくりをしてみませんか。