リモート飲み「必要?不要?」 8.5割の在宅ワーカーが「不要」とした理由を考察

松田 義人 松田 義人

 コロナ禍以降、定着した在宅ワーク。当初は「会社に行かなくて良いなんて!」と小躍りする人もいましたが、やがて「オン・オフがつかない」「家族に迷惑をかける」「会社の人や友人とコミュニケーションが取れない」など、様々な不満が叫ばれるようになりました。

 また、いわゆる「飲みニケーション」もはばかれる状況で、そんな中自然発生的に浸透し始めたのがいわゆる「リモート飲み」。パソコンやスマートフォンの前で参加者全員が酒を飲むなどし、画面越しにコミュニケーションを取ることで、すごく離れた場所にいる知人・友人も時間を共有できるようになりました。

 しかし、ここで興味深いデータが発表されました。ITツール・Webサービス比較サイト「ストラテ」による【在宅勤務での職場のメンバーとの関係性の変化に関するアンケート結果】というものです。この結果によると、実はなんと約8.5割の在宅ワーカーが「リモート飲みを必要としていない」のだそうです。また、希薄になりがちな会社の同僚との関係についても、細かいデータを紹介しており、なかなか興味深いものがあります。

 今回は、この「ストラテ」が発表したデータを用いて、在宅ワークにまつわる多くの意見を考察していきます。

86%もの人が「リモート飲み、要らん」という結果に…

 まずリモート環境におけるいくつかのデータを見ていきます。最初は「在宅勤務で、職場の同僚との関係性が希薄化したと思いますか?」のクエスチョンですが、約27%の人が「希薄化した」と回答しています。

 

 意外と少ない数字のように思いますが、他方、企業側が何か特別な取り組みをしているのでしょうか。次に「リモート環境での職場での関係性維持・構築のために、会社として取り組んでいる施策はありますか?」を見てみると、「特に実施していない」がなんと約76.5%にも及びます。

 

 この2つの結果からわかることは、「会社は何もしてくれないが、同僚同士がなんらかのコミュニケーションを積極的に行い、希薄化を避けている」と解釈できなくもないです。

 さらに、「リモート環境での関係性維持施策の中で、従業員が必要だと考えている施策」の結果を見てみましょう。

 

 「リモートランチ」を必要とする回答が10%と最も低いのはわかりながらも、意外だったのが「リモート飲み」に対する支持率が14%に過ぎなかったことです。言い換えれば、86%の人は「リモート飲み、要らん」と回答していることになるわけですが、ただし、これはあくまでも「会社が実施する施策として必要かどうか」を問うているもの。自発的に行う「リモート飲み」に対するものとはまた違うかもしれません。

 

40代では9割以上の人が「リモート飲み、要らん」と思っている!?

 「リモート飲み」に反対する声の属性ごとのデータを見てみると、また違った考察もできそうです。次に「リモート飲みを必要だと回答した人の年代ごとの割合」を見ていきましょう。

 

 ここでわかったことは20代、30代の人のうち、約18%前後が「リモート飲みの必要性」を感じています。それに対し、40代では10%にも満たないわずかな人だけが「リモート飲みの必要性」を感じており、これを言い換えれば、20代、30代では8割以上の人が、また40代では9割以上の人が「リモート飲み、要らん」と回答していることになります。

 ここから推測されることは、生のコミュニケーションの素晴らしさをよく知る40代は、どことなく「リモート飲み」に対する期待感、満足感を薄く感じているのに対し、20代、30代のいわゆるデジタル世代は40代よりは柔軟に「リモート飲み」の合理性を受け入れているのではないかということです。

 このデータは、前述の通りあくまでも「会社が実施する施策として必要かどうか」を問うたものではありますが、「皆が口を出さないまでも思っていること」が傾向としてわかる結果ではあると思いました。

 

多くの人が思っていることを可視化させ、より良い環境への道しるべに

 最後にこの興味深いデータを提供するストラテ・担当者に話を聞きました。

「昨今の状況を踏まえて、各企業向けにストラテ上で資料をご提供させていただきました。今後もちょっとした気づき・発見につながるようなアンケートをリリースしていきたいと考えています」(ストラテ・担当者)

 多くの人が日々うっすら感じていること、その施策に対する思いは、なかなか可視化できないものですが、今回の「リモート飲み」にまつわる多くの人の想いは意外な結果でした。今後も多くの人が感じていることが様々なカタチで明らかになり、それによってより良く過ごすことのできる環境になってくれることに期待するばかりです。

アンケート実施日:2021年3月19日
対象者:在宅勤務をしている、または在宅勤務をしていた全国の正社員
サンプル数:400人
年齢:20歳~49歳
業種:情報通信業、金融·証券·保険業、不動産業、サービス業、教育業、出版·印刷業、メディア·マスコミ·広告業、調査業·シンクタンク、非営利団体、その他
調査方法:ネットリサーチ
調査メディア: STRATE[ストラテ]:https://strate.biz/

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