駅前に「禰豆子」や「カオナシ」出現 話題のマネキンアート、だれが制作?次回作は?

どなどな探検隊(パートナー記事)

神戸新聞社 神戸新聞社

 「阪急電車に乗っていると、六甲駅のすぐ北に『鬼滅の刃』の女の子が立っている」という投稿が神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に届いた。知人や家族が「同じ場所で『妖怪人間』も見た」とも話しているそうで「どういう方が作られているのかな」と興味津々。添えられた写真の「鬼滅-」の“禰豆子”を見ると、恐らく等身大で、アニメから抜け出したかのように精巧にできている。制作者を探してみた。

 神戸三宮駅から東行きの阪急電車に乗る。車窓から山並みを眺め、六甲駅に差し掛かって減速する付近。沿線のマンション入り口にたたずむ人形が見えた。映画「千と千尋の神隠し」の“カオナシ”もいる。

 制作者は、マンション1階で菓子包装資材販売会社「山広商会」(神戸市灘区篠原中町2)を営む山下陽介さん(55)。フィギュアなどの制作経験はなかったが2018年、「(「妖怪人間ベム」の)ベラを作りたい」と思い立った。

 アニメの設定を調べ、同じ身長、似たポーズの女性マネキンを購入。ベラのようなグラマー体形ではなかったため、パテで“豊胸”した。脇から胸にかけてのラインを滑らかにしようと屋外で磨いたが「人形の胸を必死に触っている人にしか見えなかったと思う。近所の人にかなり誤解されたはず」と笑う。

 顔は削って、輪郭、パーツともに一から作り直し、服も生地を買って自作。仕事の合間を縫って作業を進め、19年春に完成させた。芸能活動をしているおいがツイッターに投稿すると見事に拡散。気をよくし、外に飾るようになった。

 「ベムとベロも作るよね?」という周囲の期待に応え、同年夏には「早く人間になりたい」トリオがそろう。その後はカオナシを模した人形に挑戦。塩化ビニールの板を熱で曲げて成形し、足元が透けるように塗装した。最新作が禰豆子の立像だ。口にくわえる竹は節目にこだわり、丸木を削った。髪には針金を入れ、動きを出している。

 最近は5体を日替わりで事務所前に出し、通行人や電車の乗客との交流も生まれている。「次は何?」と聞きに来る学生カップル、車窓から見て気になり、有休を取って訪ねてきた中年男性。敷地に入らず、道路側から見たり撮影したりする分には問題ないといい、山下さんは「屋外だし、離れた電車からも見える。コロナ禍でしんどい思いをしている人にも楽しんでほしい」と話している。

 新作用に成人男性のマネキンを購入したが、何を作るかは「秘密」。「定番人気の少年アニメとだけ言っておきましょう」と、いたずらっぽい笑みを浮かべた。山下さんはツイッターアカウント「よすけの工作」(@yosuke_kousaku)でも作品を公開している。(上杉順子)

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