源氏一門に伝えられてきた宝刀「髭切(ひげきり)」と「膝丸(ひざまる)」を所蔵する北野天満宮(京都市上京区)と大覚寺(右京区)が連携を強めている。ゲームなどの影響で両刀の人気が高まっていることに着目。展示時期を合わせるなどして参拝者にアピールし「刀を通じて天神さんと大覚寺の深いゆかりを知ってほしい」と期待を込めている。
両刀は重要文化財。いずれも平安時代に源満仲が作らせたと伝わることから「兄弟刀」とも呼ばれる。刀を擬人化したゲーム「刀剣乱舞」のヒットで刀に興味を持つ女性が増える中、「兄弟刀を一緒に見たい」との要望も多かったという。
そこで両社寺は3月25日から5月31日まで、期間を合わせて企画展を始めた。夏にも同時期に展示を予定するほか、来年春には同じ場所で両刀を並べる特別展も計画しているという。
両会場では、大覚寺の創建時に天満宮の祭神・菅原道真が上奏文を起草したことや、源頼光が膝丸で退治した土蜘蛛(つちぐも)の塚が天満宮に隣接する東向観音寺に残ることなど、歴史的なつながりも展示で紹介している。髭切を鑑賞していた大阪市内の女性(24)は「何度見ても、とっても美しい。期間中に大覚寺も行きたい」と話した。
天満宮は、奉納された約40振りの刀も並び「刀を通じて学問だけでなく、武神としても信仰された天神さんの歴史を知ってもらいたい」と強調。大覚寺は「(来館者には)刀の来歴や寺に対しても真摯(しんし)な気持ちを向けてもらっていると感じる。ぜひ実物を見てもらい、天神さんと大覚寺のご縁も知ってほしい」としている。