「学校に行かない」少年ユーチューバー「ゆたぼん」に夜回り先生がエール「救われる子がたくさんいる」

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修

 「少年革命家」を名乗る12歳のYouTuber「ゆたぼん」が小学校に続いて、4月に入学した中学校でも不登校を貫くと宣言した。義務教育を拒否する姿勢に対して、ネットの世界や著名人の間でも賛否両論が起きている。夜回り先生こと教育家の水谷修氏は「ゆたぼん君、ありがとう」とエールを送り、肯定的な立場から自身の見解をつづった。

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 You Tubeで活動しているゆたぼん君が、「中学校に登校しない」と宣言したことが、いろいろ物議をもたらしているようです。彼の不登校宣言について、彼と彼の父親を非難する意見が、ネット上をにぎわせています。この報道の中で、私は、いろいろ考えさせてもらいました。

 私は、高等学校の教員でしたから、その感覚で見れば、親が、「中学校に登校させない」は、犯罪です。日本の法律の下で、親は、義務教育を子どもに受けされる義務があり、子どもも教育を受ける義務があります。

 それでは、子どもが「学校には、登校できない」これはどうでしょうか。すでに、文部科学省は、不登校について、その子どもたちを無理に学校に通学させることはせず、また、学校に戻ることを強いることもせず、訪問教育や適応指導教室などの体制を設置し、その子どもたちの現況に応じた対応をするように指示しています。

 私は、これまで、子どもたちの不登校について、この二つの観点からしか見ていませんでした。多分、それは、学校も教育委員会も、文部科学省も、有識者と称される人たちも同様だったと思います。 

 そのような中で、「中学校に登校しない」と、中学1年生が発言する。衝撃です。それを、親が作り上げているなどと、誹謗中傷する意見も多々あります。とんでもないことです。確かに、親の影響は受けているでしょう。でも、彼は、彼の言葉できちんと語っています。すごいことです。

  これまで私には、不登校について、二つの観点しかありませんでした。一つは、「行かせない」。これは、犯罪です。二つ目は、「行けない」。これが、今までの不登校の中心的な考え方でした。そんな私に、三つ目の選択肢を示してくれました。「行かない」。自分の意思で、学校に行かない。

 ゆたぼん君、ありがとう。君の意思表示で救われる子どもたちがたくさんいます。自分は、単なる不登校「学校に行けない」のではなく、自分の意思で「学校に行かない」のだ。こう不登校の自分を見直すことで、救われる子どもたち、たくさんいます。

 人生は、長い。今、別に中学校の勉強を学校で学ばなくても、またいつでも学ぶことはできます。

 ゆたぼん君を批判している人たちにお願いです。止めましょう。こんな小さな子どもが、自分で必死で決めたことです。そっと何も語らず、彼のユーチューブも見ず、そっとしておいてあげましょう。そこから、きっと彼は、また次の人生を自分で考えて生きていきます。

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