山口県は20代の男女3人の新型コロナウイルス感染確認を17日に発表し、うち2人が動画投稿サイト(YouTube)に「へずまりゅう」の名前で動画を載せている29歳の男性と接触していたと公表した。山口県は、この男性が15日に愛知県で感染が確認されていたことも明かし、これを受けて、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は19日、当サイトの取材に対し、愛知県岡崎市のスーパーで会計前に商品である魚の切り身を食べた窃盗の疑いで11日に愛知県警岡崎警察署に逮捕された容疑者と同一人物であることを指摘した。
山口県によると、ユーチューバー「へずまりゅう」を名乗る男性は男子学生と10日に山口市内で会食し、この店にいた医療従事者の女性にも近づいて会話。この男女2人が感染したという。同県の村岡嗣政知事は、男性が10日に県内の観光地や飲食店に立ち寄り、SNSで行動を発信して人を集めていたことを説明。マスクを着用せずに多くの人と接触を繰り返していたことについて「信じられないし、何てことをしてくれたんだという思い」と語り、接触した心当たりのある人に保健所への相談を呼びかけた。
この男性は、火災に遭った沖縄県の首里城復興への願いが寄せ書きされた首里城公園メッセージボードに落書きをするなど、日本各地を移動する「迷惑系ユーチューバー」として知られ、今年5月29日に岡崎市内のスーパーで魚の切り身1パック(約430円相当)を盗んだ疑いで、今月11日に岡崎署に逮捕された。この時点で、「自称ユーチューバー『へずまりゅう』こと、原田将大容疑者」と報じられている。
同容疑者は、陳列されていた魚の切り身を取り上げて店内で食べている様子を別の人物に撮影させた動画を投稿しており、店舗から相談を受けた同署は、会計前の商品を食べる行為が窃盗に当たると判断して逮捕。本人は容疑を認めている。小川氏は「ユーチューブ動画を撮影する場合、通常は事前に店側から許可を得ているものであるが、今回は無断で撮影したのでしょう。会計前に商品の食品を無断で食べる行為は窃盗に当たり、被害届も出された」と指摘した。
その上で、小川氏は捜査関係者への取材を元に「岡崎警察署の留置場でコロナの感染者が出ましたが、それがユーチューバーの『へずまりゅう』氏です。留置場で食事をした後、『味がしない』と申し出があり、検温をすると、37度6分あり、PCR検査の結果、コロナの陽性が判明し、15日から入院しています。また留置場の同房の20代男性もその後のPCR検査で陽性と判明し、取調官を含む複数の警察官も陽性でした」と説明。さらに「岡崎警察署の警察官は相当数、PCR検査をして自宅待機しているとのことです」と付け加えた。
同容疑者は6月29日、東京都知事選(7月5日投開票)に向け、都内で候補者の応援演説に参加したことを自らツイッターに投稿。その日から岡崎署に逮捕される7月11日まで、東京都、千葉県、静岡県、広島県、山口県に滞在し、13日に発熱。15日に岡崎保健所による遺伝子検査で陽性が確認されたという。本人のツイッターには7月初旬に東京ディズニーランドや渋谷などで行動する画像や動画が連日投稿されていた。
小川氏は「今後、容疑者が動画を撮っていた場所、移動していた道中など、感染経路をたどって、濃厚接触者の割り出しなどの対応がされるでしょう。コロナに感染したのは、本人も分からなかったのだと思いますが、大半のユーチューバーの皆さんはきちんとルールを守っているだけに、今回の行為は残念です」と注意を呼び掛けた。