124年ぶりの2月3日「立春の日」 縁起酒「立春朝搾り」でコロナ退散を

辻本 一好 辻本 一好

 「疫病退散」「コロナ退散」-。願いは朱色の文字で書き込まれていく。立春(2月3日)の未明から搾る日本酒の生原酒を瓶詰めし、その日のうちに客に届ける縁起酒「立春朝搾り」。日本名門酒会の蔵元と酒販店が連携するイベントは24年目になる。

 明治30年以来、124年ぶりに3日となった珍しさで話題となっている「立春の日」。1年間を24の季節に分ける二十四節気の最初で、昔は正月と同様に大切な日とされてきた。前日の「節分の日」に豆まきで邪気をはらうのもそのためだ。

 花が芽を膨らませ、生命が躍動を始める春が始まり、エネルギーや運気が切り替わる時として、占いやスピリチャルの世界ではとりわけ特別な意味を持つ。

 昨年は全国44の蔵元が酒販店と連携して28万本以上を出荷したが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言で、注文を減らす飲食店も多いという。

 兵庫県神戸市内の酒販店「酒のてらむら」では、「立春大吉」「鬼を払い、福を招く」と記した木札に予約客から依頼された言葉を書き加えて、酒とともに蔵元近くの神社でお払いを受ける。アマビエをあしらったカードを配布する店もあるという。

 「料理店向けは半減。個人のお客さんは去年より少し多いと思います。立春の日ギリギリまで対応させていただきます」とアピールする。

 44蔵元の一つ、富久錦(兵庫県加西市)では立春に仕上がるよう、発酵の状態を確認する作業が続く。担当者は「コロナで日本酒も厳しい状況が続いていますが、当日搾りならではの新鮮な風味を味わい、農家、蔵、店の人のつながりを思い起こしてもらえたら」と期待を込める。

 立春朝搾りを販売する店や蔵元は、日本名門酒会のホームページに掲載している。

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