「なに作ってるん?」生徒たちのそばで作陶を見守る陶芸教室の猫

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 教室の呼び鈴がなって生徒さんがこられると、クゥは玄関先まで迎えにいき、体をこすりつけて挨拶することが多いです。生徒さんがテーブルで食器や花器などの作品を作り始めると、「なに作ってるん?」といった顔をしながら、隣で座ってじっと見ていたり、時には邪魔したり。教室ではそんなふうにクゥがいるのが普通なので、たまに奥で寝ていて教室に出てこない時があると、生徒さんたちから「クゥちゃん先生、今日はどうしたん?」と心配されるほど。おかげさまで人気者です。

 体験教室もやっているんですが、昨年、大阪からこられた30代のこんなご夫婦がいらっしゃいました。奥様が陶芸と猫が大好きだそうで、旦那様が彼女の誕生日にサプライズをしようと、事前に何も知らせず、奥様をここへ連れてこられたんです。陶芸体験と猫との触れ合いを同時に楽しまれて、彼女は大喜び。旦那様が必死でろくろを回しているのもそっちのけで、クゥをなでていました(笑)。

 クゥを見ていていつも思うのは、猫ってすごく自分の気持ちに正直だなあということ。甘えたいときに甘え、気に入らないときは呼んでもこない。凛としていて、自分を崩しません。人間社会では、意にそぐわないことや、我慢せなあかんことなどいろんなことがあって、いつもそんなふうに生きられるわけではないでしょう。だから、生徒さんたちには、ここへ来たら、自分の気持ちを解放して、人の目を気にせず、自由に土に触れてもらいたい。「クゥちゃん先生」のそばで、思うぞんぶん土いじりを楽しんでほしいと思っているんです。

【店名】「土楽猫(どらねこ)工房」
【住所】奈良市東紀寺町2-2-1
【HP】www.doraneco-koubou.com

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