〝猫ゴジラ〟現る!?コロナ禍で窮地に陥った店の救世主になった鉄道模型食堂の猫たち

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 JR大阪環状線・寺田町駅のすぐそばにある「ジオラマ食堂」(大阪市天王寺区)。店内には、メインの大きなレイアウト(鉄道模型台)と、小さなレイアウトのある猫部屋があり、持参した車両を走らせながら食事をしたり、猫たちと触れ合ったりすることができる。ジオラマ製作のプロで、顧問の寺岡直樹さん(56)は、コロナ禍で営業自粛を余儀なくされ、店の経営が立ち行かなくなる寸前まで追い込まれた。そんな窮地に陥っていた矢先、5匹の親子猫が現れた。キジトラの母猫・サラ(メス、2歳半)、その子どものシンバ(オス)、レオ(オス)、ナラ(メス)、ライア(メス)の4匹(レオは白黒柄、その他はキジトラ。いずれも生後半年)だ。子猫たちが救世主となり、店はいま、再び活気を取り戻しつつある。飼い主の寺岡さんに経緯などを聞いた。

 寺岡さん 緊急事態宣言が出る前の今年3月から店は営業を自粛。宣言が解除されてからは週末夜のみの営業でしたが、外出したらあかんといった雰囲気も漂っていて、お客さんはほとんど来ず、家賃や人件費もかかるので、このままやったらもう店やっていかれへんわと。猫たちが現れたのはそんなときやったんです。

 6月初旬、隣の保育園の保育士さんが、掌にのるくらいの生まれたばかりの子猫が園の前でうずくまっているのを見つけて保護し、僕のとこに持ってきました。僕はずっと犬派で、猫を飼ったことはなかったんですが、とても可愛かったので自宅に連れ帰り、シンバと名付けて家族で飼うことにしました。

 でも、それだけで話は終わらんかったんです。しばらくすると、キジトラの成猫が店に通ってくるようになり、餌をあげるとどこかへ消えていくんです。7月に入ると、隣のビルの勝手口に置いてあるゴミ箱の裏で、3匹の子猫が発見されました。あとでわかったんですが、先に保護したシンバとその3匹は兄弟姉妹で、そのキジトラが母猫やったんです。おそらく母猫が子猫たちをゴミ箱裏の安全な場所へと運んだとき、シンバだけ保育園の前に落としてしまったのかもしれません。その母猫がサラ、いま店にいる3匹がレオ、ナラ、ライアです。

 7月中旬、保護猫団体の方がきてくれて、捕獲器を設置し、まずはサラを保護。動物病院で避妊しました。その数日後に子猫3匹も捕まえて病院へ。その後、サラと子猫たちは、店の奥にある部屋にケージを置いて、そこで飼うことにしたんです。

 サラは当初、ものすごく凶暴で、僕やスタッフが近づこうものなら、シャーと威嚇し、ひっかかれて怪我を負うこともしばしばでした。今も警戒心が強く、ケージから外には出せません。子猫たちも、特にナラは幼いのに噛みまくってきて、捕獲当初は死に物狂いで反抗していました。今は3匹とも、僕には甘えてくるようになりましたが。

 大雨が多かった都会の雑踏の中で、サラも子どもたちも、生き延びるんに必死やったんやないかと思います。保護当時は生後2カ月弱くらい。食べられるもんなら何でも食べて、危害を加えられそうな人には必死で警戒、抵抗してきたんです。僕もコロナでお客さんがこず、資金繰りに困ってたけど、命を繋がなあかんかったこの子たちの大変さに比べたら、僕の悩みなんかまだましかもなと。純粋無垢で、真剣に生きようとしているこの子らを目の当たりにして、勇気をもらい、気持ちがすごく楽になったんです。

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