LiLiCoら映画好き著名人も激賞
脚本・監督は、これが長編映画監督デビュー作となる藤澤浩和。井筒和幸監督や武正晴監督のもとで助監督経験を積んだ叩き上げだ。笑いのセンスが各所に光っており、画面からは、観客の目と耳を楽しませようという創意工夫が伝わってくる。エキストラの配置や動き、画作りも凝っていて画面に躍動感がある。藤澤監督が作品全体を俯瞰してコントロールしているのがよくわかる。今時珍しい、泣いて笑って元気をくれる王道エンターテインメントを作れる確かな手腕は、今後の飛躍を期待せずにはいられない。
著者も公開初日にスクリーンで観たが、上映後に「メチャクチャ面白いじゃん!」と明るい声を挙げる若い男性二人組がいる一方で、シクシクと感涙している女性もいたりして、受け取り方が人それぞれなのも興味深かった。撮影されたのは2018年だが、2年の時を経てテーマがより一層“今の物語”になった。コロナ禍という暗い1年だった2020年の締めくくりに偶然公開されたことも、映画の神様の采配であるかのように感じる。
公開記念舞台挨拶で大塚は「コロナ禍で暗いニュースしかない、そんな今だからこそこの映画は公開されるべき。何か新しいことに挑戦しようという勇気や元気を少しでも与えることができたら幸せ」とメッセージ。内田も「真子と一華の無茶な挑戦は周りから馬鹿にされるけれど、二人は『やりたいからやる』という気持ち一つで突破する。夢を語るのはタダ。価値観が変わっていく今の時代の中で、無茶な希望を持って生きることが元気になる秘訣」と力を込めていた。
著名人も絶賛の声を寄せている。映画コメンテーターのLiLiCoは『王様のブランチ』や自身のラジオ番組で「いい作品を見つけた!どういう風に生きればいいのか、そして人を応援する気持ちとは何なのかを考えさせられた。観ていて凄く楽しかった。そして美しかった」などと感想を述べている。俳優の鶴見辰吾も「善意の溢れるハートフルコメディ。応援したくなる温かみのある映画」とTwitterでエール。『レディ・トゥ・レディ』には、人の心を震わせて突き動かす力が確かにある。