ロシアンブルーの猫女将が宿泊客を〝おもてにゃし〟京の純和風旅館

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 JR京都駅から徒歩3分。京都タワー東側の京の旅館通りにある「藤家旅館」は、純和風でアットホームな雰囲気の老舗旅館。女将・内藤津以子さん(56)とともにお客さんを出迎えているロシアンブルーのリリー(メス、9歳)は2代目〝猫女将〟として有名だ。初代のエミリー(メス、11歳半で没)から数えると、ロシアンブルーの猫女将が宿泊客をもてなして20年になるという。内藤さんに初代エミリーの思い出や、リリーの活躍ぶりなどを聞いた。

 内藤さん もう20年前になりますが、当時、小学2年生と幼稚園児だった娘たちがホームセンターのペットショップにいたロシアンブルーの愛らしさに一目惚れ。関東のブリーダーさんから譲り受けたのが先代のエミリーでした。ここにやってきたのは生後4カ月くらい。可愛くて、家族みんなエミリーにメロメロになりました。

 うちの旅館は1階が家族の部屋で、2階の6部屋が客間です。エミリーが3、4歳になると、自分で階段をのぼっていって、お客さんが宿泊する部屋を巡回するようになりました。気に入った人たちには、添い寝するようにもなり、そんなおもてなしぶりがテレビや雑誌などで報道されて、「ロシアンブルーの猫女将がいる旅館」として知られるようになりました。

 エミリーとは幼かった娘たちの成長と歩を合わせるように家族一緒に暮らしてきましたし、お客さんのアイドルでもあったので、2011年7月、病気で亡くなったときは、家族もファンの方々も、大変悲しみました。しかし一方で、失った悲しみばかりではなく、敬意というか、感謝の念もわいてきたんです。たくさんの思い出をありがとうって。その気持ちをずっと忘れたくなかったのと、「猫に会いたい」というお客さんの期待に応えたいとの思いもあり、しばらく経ったのち、再びロシアンブルーを飼うことに決めました。それがリリーです。生後2カ月のころ、埼玉のブリーダーさんに飛行機に乗せてもらい、伊丹空港までお出迎えに行った時のことが思い出されます。

 生まれ変わってまた私たちのところに来てほしい。そんなひそかな願いもあったんです。でも、外見は似ていますが、リリーはエミリーの生まれ変わりではないようです。というのも性格がまるで逆。おとなしくて品があったエミリーとは違って、リリーは、部屋中を走り回ったり柱を駆け上ったりとやんちゃ娘でした。歳を重ねるにつれ、猫女将としての自覚がでてきたのか、今は落ち着いて接客できるようになりましたね(笑)。

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