古今東西の死亡フラグが約100個!
「か、金ならたくさんあるぞ。助けてくれ」「もし俺に何かあったら、この手紙を妻に渡してくれ…」。映画やドラマでこうしたセリフが聞こえてきたら、多くの人はその登場人物の死を確信するのではないでしょうか。
物語において近い将来死ぬことになるという伏線が張られることを「死亡フラグが立った」と言いますが、そんな死亡フラグばかりを約100個集めた「明日から使える死亡フラグ図鑑」が10月12日に発売。翌日には売り切れるほどの人気を集めています。
作者は、フリーイラストレーターの茶んた(@Chanta in inari)さん。映画やドラマ、マンガなどの作品に登場する死亡フラグを、アクション編・サスペンス編・ホラー編など7つのジャンルに分け、1コマ漫画で紹介しています。
たとえば、「叫びながらマシンガンを乱射する人」
「うぉおおおお!」と銃声以外の声まで発するので、より敵の注目を集め、味方をも危険にさらす場合があるという、まさに死亡フラグの代表格です。
「戦いが終わったら結婚する人」
死亡フラグのド定番!叶わないであろう夢を語る姿に涙がこみ上げてきます……まだ生きているのに。
「作戦失敗をボスに報告する幹部」
悪の組織は、失敗をポジティブには捉えてくれません。
趣味でTwitterに投稿していた作品に、新作描き下ろしを加えて書籍化したという茶んたさんに、制作のきっかけや苦労について聞きました。
パリピは死にがち
――なぜ“死亡フラグ”に目を付けられたのですか?
映画やドラマ・マンガが好きで、そうしたエンタメ作品の“あるあるネタ”をTwitterに投稿していたのですが、中でも死亡フラグは「●●っていう映画で見た!」「こういうのもあるよね!」など、コメント欄がすごく盛り上がっていたんです。それがモチベーションになって、気づけば死亡フラグ集ができあがっていった…という感じです。
――よく、100個近い死亡フラグを見つけられましたよね。
もともと、映画だけで500作品ほどは見ていて、Twitterに投稿していた死亡フラグも約60個ありました。ただ、書籍化にあたって新作を40個くらい見つけなければならなくなって…。それで約3か月の間に、追加で50本ほどの映画を見ました。好物のアクション映画にフラグが偏っていたので、追加分ではカンフー映画や時代劇、ヨーロッパ作品なんかもたくさん見ましたね。苦手なホラー映画を我慢して見ていた時が一番キツかった…。でも、いろんなジャンルの映画を見る良い機会になったので、ありがたい経験をさせてもらったなと感謝しています。
――苦手なジャンルを見続けるのはキツいですね…。死亡フラグを見つけるコツってあるのですか?
慢心や油断を、セリフや行動でわかりやすく表現しているキャラは、まず死亡フラグの候補者ですね。わかりやすく言うと、調子に乗っている奴、敵をなめている奴、パリピです。作品で言えば、いわゆるB級映画が見つけやすい印象です。
――図鑑が大変人気です。読者にどんなふうに楽しんでもらいたいですか?
映画などを見ていてこの本と同じシチュエーションが出てきたときに、思い出してちょっと笑ってくれたら僕はうれしいです。エンタメ作品は純粋に楽しむのが一番ですが、死亡フラグを見つけたときにそばにいる人たちとツッコミ合いながら見るのも、それはそれで楽しい。新しい楽しみ方の一つとして役立ってくれたら幸せです。
――続編の可能性は?
今回で死亡フラグは出し尽くしちゃって…。絞り切った雑巾状態なので、しばらくは考えていないです。逆に“生存フラグ”も面白いかな、と思っているのですが、今のところ「滝つぼ(水)に落ちた主人公は大抵生きている」くらいしか出てこない(笑)。これが50個くらい集まれば、また考えたいと思います。
思わずクスッと笑ってしまう“死亡あるある”が詰まった本書。茶んたさんの次回作にもやっぱり期待しちゃいます。では最後に、本書から見つけた筆者お気に入りの死亡フラグを…。
「バタフライナイフをかちゃかちゃさせる人」
非常に危険な刃物を意味もなくかちゃかちゃと見せびらかす人。現場をなめたその精神が死を招きます。
▽『明日から使える死亡フラグ図鑑』(宝島社)1100円