マイナンバーカードを使って申し込み、キャッシュレス決済で買い物をすると利用額の一部が還元される「マイナポイント」事業について、読者の女性(62)から「申し込みが難しい」という投稿が神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた。取材を進めると、認知度の低さや申し込みの手間から、利用が広がらない現状が見えてきた。(伊田雄馬)
同事業はマイナンバーカードの普及促進や消費活性化を目的に、総務省が9月から開始。申込時に選んだキャッシュレス決済サービスで買い物すると、1人当たり5千円を上限に利用金額の25%分のポイントがもらえる。
同省によると、マイナンバーカードの交付人数は全国で約2700万人。一方でポイントの申し込みは約818万人(10月28日現在)と、カードの取得人数の4分の1にとどまる。
事業は4千万人分の予算を確保しているが、申し込みは2割程度で、来年3月の事業終了までに予算分に到達するかは不透明。これまでは特設サイトを中心に広報してきたが、「高齢世帯への周知が不十分」として、10月下旬から新聞の折り込み広告にチラシを入れるなどしていくという。
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恥ずかしながら、記者(30)も取材するまでマイナポイントのことをよく知らず、申し込みもしていなかった。マイナンバーカードはあるので、「この機会に」とスマートフォンから挑戦した。
まずは専用アプリをダウンロードし、申し込みに必要な「マイキーID」を発行する。この時にカードをスマホにかざしてICチップを読み取るが、何度試してもうまくいかない。スマホをケースから外し、カードに数秒間当て続け、無事に申し込みが完了した。
「そもそも、専用アプリをダウンロードできない」と話すのは、投稿者の女性。「お使いのデバイスはこのバージョンに対応していません」と表示されるという。「1年以内に購入したスマホなのになぜ」と頭をひねる。