路上で死んだ動物を花飾りでお葬式 ”おくりびと”は女性博士…その思いとは

今井 悠乃 今井 悠乃

 家庭で飼われているペットが亡くなると埋葬されることがありますが、野生動物はどうでしょう?飼い主の分からないペットや野生動物が路上で死んでいたら、何もできずにその場を通り過ぎてしまう人も少なくはないと思います。

 米国南部テキサス州在住のアマンダ・ストロンザ博士は路上で見つけた動物の死骸に花や葉を飾り、その「メモリアル」の様子を写真に収めています。小鹿、コヨーテ、プレーリードッグ、アルマジロをはじめ、オポッサム、カメ、ヘビ、ヤモリなど、ほ乳類から両生類、は虫類まで多種多様。それぞれの動物の説明、毛並みなどの状態、見つけた場所や追悼の言葉を添えてSNSに投稿し、話題を呼んでいます。

 世界の野生動物と人類の共存をミッションとするアマンダ博士に、この唯一無二ともいえる「メモリアル」について伺いました。

―職業やミッションについて教えてください。

 私の職業は人類学者、大学教授、フォトグラファーです。世界中の野生生物や野生動物と生活する人類について研究するほか、熱帯地方やアマゾンの先住民コミュニティでの保護活動をしています。また30年以上、人々と野生動物との共存の可能性や複雑な関係をリサーチしてきました。

―動物の遺体を花や葉で飾る、追悼の「メモリアル」を始めたきっかけは?

 長年、路上で死んだ動物を見つける度に収集していました。動物の遺体を残して去ることは、最も残酷な行為だと思います。動物のことをこの地球を共有する生きもの、すなわち尊敬に値する存在としてではなく、単なるモノとして扱う人にとっては、死骸を見つけても無視することは簡単なのでしょう。

 そんな中、私は自然主義の著者や他のフォトグラファーにインスピレーションを受け、数年前から路上だけでなく、ハイキングコースや家の裏庭で見つけた動物の遺体の「メモリアル」を始めました。花、枝、種子や雑草などを飾っています。

―どのような気持ちを込めて「メモリアル」をされていますか?

 一番の目的は遺体に敬意を払うこと。「死骸」としてではなく、かつては私たちと同じように地球上に生きていた動物として観察するようにしています。それぞれの遺体に、心があり、喜びや恐れなどの思い出や記憶があり、家族もいました。センセーションに表現するつもりはありません。

 どの遺体にも「ごめんなさい」と謝っています。私からのお悔やみの言葉だけではなく、その動物をひいてしまった運転手の代わりに。そして意図的でなくても、亡きがらを見落としてしまったり、見て見ぬふりをしてしまった私たち全員の代わりにも、です。

―動物愛がジーンと伝わってきます。特に好きな動物はいるのでしょうか?

 正直、すべての動物が大好きで選ぶことができないくらいです。でも、オオカワウソ、ゾウ、ブチハイエナ、カミツキガメ、コウモリとアルマジロは特別ですね。

 博士の取り組みに心が打たれました。この地球で生きとし生けるものが幸せでありますように。私が住んでいる米国西海岸のカリフォルニア州では、ハイキング中にコヨーテ、リス、鹿やアライグマを見かけることがあります。交通量が多い通りでも遭遇することがあるので、ドライブする際は安全第一を、より一層心掛けようと思います。

アマンダ・ストロンザ博士のインスタグラムhttps://www.instagram.com/amandastronza/

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