ミシュラン国内25番目のエリアは「岡山」 記者会見に県知事も駆けつける祝福ムード

山本 智行 山本 智行

 厳選された飲食店、レストラン、ホテルなどを紹介する注目の格付け本「ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021」が9日から全国の書店で発売されている。京都、大阪は12年連続だが、今回注目されるのは“晴れの国”岡山が国内25番目として初掲載されたこと。岡山市の「ANAクラウンプラザホテル岡山」で開かれたセレクション会見取材を中心に、その見どころをチェックしてみた。

 「ミシュランガイド」はご存知、フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」がドライバーに役立つ情報を…と、1900年から発行しており、現在、世界31カ国で展開。国内では2007年にアジア初となる「東京版」が掲載されてから今回の岡山が25番目となる。

 岡山と言えば、そう、気候が穏やかで太陽の光をたっぷりと浴びて育ったフルーツや野菜などの農産物や畜産物、瀬戸内海から上がる海産物にも恵まれていることから食文化が豊か。2年前には鳥取県が対象エリアになっており、むしろ選ばれるのが遅すぎたと言っていいかもしれない。

 そんな中、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から「京都・大阪」の発表はオンライン配信となったが、初掲載となる「岡山」では感染防止を徹底しながら「ANAクラウンプラザホテル岡山」で対面式の記者会見を開催。伊原木隆太知事が駆けつけるなど、会場は祝福ムードに包まれた。

 ジャジャーン!関係者の注目を集める中、岡山県内で掲載されたのは204軒。「備前」「備中」「美作」とエリアが分かれているのも芸の細かいところ。残念ながら最上級評価の「三つ星」はなかったものの、遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理を提供するお店の「二つ星」は2軒。いずれも岡山市内にある日本料理「喰切料理 八方」と寿司「鮨縁」がセレクトされた。

 前者は大阪仕込みのスタイルで、厳選された素材に昆布をきかせ、塩味を基本とした料理を提供する割烹。後者は主に瀬戸内海でとれた魚をネタに、独創性を加えたところが高評価された。

 また近くに訪れたら行く価値のある優れた料理を提供するお店の「一つ星」は岡山市や倉敷市、津山市などの飲食店18軒が選ばれた。内訳は日本料理10軒、寿司3軒、イタリア料理3軒、中国料理1軒、フランス料理1軒。なかでもイタリアン「頭島レストラン クチーナ テラダ」は地域活性化のために備前市と提携し、日生の漁師から仕入れた魚介、近隣で育てられた野菜や米を使い、地産地消を実践していることも評価の対象になった。

 さらに“庶民の味方”「ビブグルマン」には12種類の料理カテゴリー、7市町村から28軒。「ミシュランプレート」には私も行ったことのある岡山市のラーメン店「グリ虎」や津山市の「橋野食堂」など145軒が選ばれている。ジャンルは幅広く、ママカリ、鰆、タコなど瀬戸内の恵みをいかした魚料理、ばら寿司をはじめ、デミカツ丼、ひるぜん焼きそばやホルモンうどんなど、郷土料理やご当地グルメも登場。特に、タコ料理はミシュランガイド初掲載だそうだ。

 日本ミシュランタイヤのポール・ペリニオ社長は「ミシュランガイドを創刊し、今年で120周年。その記念すべき年に『晴れの国』岡山で204軒のお勧めの施設を紹介することができ、大変うれしく思います」と話した。

 一方、12年目となる京都・大阪を対象としたミシュランガイドの総掲載軒数は487軒。京都の「三つ星」は7軒で12年連続の日本料理「菊乃井 本店」と「瓢亭」は不動の地位を築き上げている印象だが、持続可能な取り組みに力を入れるなど進化を止めていない。

 大阪の「三つ星」は3軒。日本料理「柏屋」はグリーンスターでも掲載され、なにわの伝統野菜の文化と継承に努める一方で水産資源の保全にも注力しているのはさすが。イノベーティブ料理「Hajime」は水道濾過システムを導入したり、輸送にかかる二酸化炭素排出軽減に努めている点も評価された。

 今回、岡山会場を訪れていた橋本昌子さんはフリーアナウンサーとして関西をはじめ岡山や香川でも活躍しており「どれもこれもすてきなお店ばかり。ドライブと食べ歩きが趣味なので時間とサイフと相談しながらですが、全部訪ねたいほどです」と笑顔だった。

 年々、注目度が高まっているミシュランガイド。本の帯には「京都の切れ味。大阪の持ち味。+岡山の本気。」と書かれている。「GO TO キャンペーン」も始まっており、関西はもちろん、ちょっと足を伸ばしガイド本を手に「晴れの国おかやま」のあっぱれな名店の数々を楽しんでみてはいかがでしょうか?

◇「ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021」3180円+税。「ミシュランガイド東京2021」は12月10日発売予定 

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