流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「巣ごもり家電」がテーマ。コロナ禍の影響で需要が増えている商品について解説した。
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暑い日が続いていますが、食欲の秋のシーズンもそろそろです。コロナ禍の影響で調理家電が売れているようです。
外出自粛で夏休みには旅行や帰省を控える傾向もあって「巣ごもり」が加速したのも影響しているようです。
共働きの増加などから、家事負担を削減する簡単・短時間の時短系の商品がここ数年のトレンドでしだが、コロナ禍で「おうち充実」の流れができており、調理家電にはさらに美味しくの付加価値機能の付いた「ラクウマ家電」が人気となっています。
ホットプレートであれば、保温と調理が並行してできたり、2種類の料理が作れるなど、工夫した機能の商品やトースターは、サクサクやフワフワなどの焼いた後の味わいを競ったものなどが売れ筋です。
さらに料理を趣味とするニーズとしてホームベーカリーは6000円台のビギナータイプから3万5000円前後高機能商品とさまざまな価格帯のラインナップが発売になっている程です。
忖度なく家電を視聴者視点で評価する雑誌「家電批評」の阿部淳平副編集長によると、「電気圧力鍋はこれまで単身や二人世帯などので小さめなお一人様向けモノが人気で主流だったが、コロナ禍でファミリー用大きめな商品に一挙に売れ筋が変わった」とのこと。
メーカーもそれに合わせて生産の増強を商品開発をファミリー用にシフトチェンジしているようです。
おひとりさま需要がコロナ禍でファミリー向けへトレンドが変わり、2本柱のニーズとなっている。調理家電は、各家庭に必ずあるものではないため、家電量販店などではプラスアルファの売上増にもなっているようです。
また、在宅時間が長くなると、家庭内の汚れも目立つようで、簡単に掃除できるスティッククリーナーも販売好評。冷蔵庫・洗濯機・エアコンの白物家電は、買い替えのタイミングは、引越しなど生活スタイルの変化や故障時が多く、10年以上のスパンとなるが、定額給付金が後押しして購買増に繋がっています。
コロナ要因でさまざまな家電に限らず消費行動に変化が日々細やかに起こっています。小売業やメーカーは、消費者視点で変化対応していく事が生き残りのために必要不可欠です。