滋賀県守山市にある「Hair Art Saran」は、猫がのぼって遊べるキャットウォークが店内に設けられた、まるで猫カフェのような美容院だ。オーナーの辻百合子さんが飼っているのは、茶トラのロイ、黒白のソル兄弟(ともに3歳、オス)、1歳のオッドアイの白猫兄妹・カブ(オス)、アブ(メス)の計4匹。髪を染めたりパーマをあてたりしているとき、お客さんの膝の上に乗ることもあり、メロメロになる人も。4匹との出会いや接客ぶりなどについて、辻さんに話を聞いた。
辻さん 最初にやってきたのはロイとソル。3年前、知人が保護していた4匹の子猫の中の2匹を譲り受けました。私はシングルマザーで、長女は仕事の都合で先に家を出て、当時10代だった長男と2人暮らしだったため、なにかとストレスが多くて…。お客さんから「猫は癒されるでー」と言われたのがきっかけで、初めて猫を飼うことにしました。出会ったとき、2匹はまだ生後1カ月ほど。ソックスを履いたような脚を持つ黒白柄のソルに一目惚れでした。「兄弟で飼った方がさびしがらないからいい」と勧められ、人なつこい茶トラのロイも一緒に引き取りました。
2匹は成長するにつれて、店内の棚の上にのぼったり、走り回ったりして、まるで運動会。あまりに元気なので、どうせなら猫たちが喜んで過ごせるような空間をDIYで作れないかと思ったんです。相談すると、同級生が木材など材料を提供してくれて、お世話になっている知人が取り付け作業を手伝ってくれました。そのおかげで店内の壁に、立派なキャットウォークや棚などが完成しました。
それらができると、次第に2匹だけではさびしいと思うようになりました。そこで昨年6月ころ、ネットで保護猫を調べていたら、枚方(大阪府)にある保護猫団体のページに1歳の三毛の母猫と生後2カ月弱の4匹の子猫(3匹は真っ白、1匹は三毛)が載っていて、その中の1匹に耳のケガが痛々しい白い子猫の姿が目にとまりました。それがアブです。
その子の紹介動画を見ると、ごはんのとき、ケガした耳をピクピクさせて「アウ、アウ、アウ」ってしゃべりながら食べてたんですよ。その姿があまりにけなげで。それと、その子猫たちは4月10日生まれだそうで、私の父親と同じ誕生日だったので、理由はありませんが、ああ、もうこの子や!とピンときました(笑)。
でも、いざその団体の譲渡会に行くと、アブを含む3匹の白い子たちは大人気でした。というのも3匹とも、左右の目の色が違うオッドアイだったからです。オッドアイの子は幸運をもたらすと言われますし、とても珍しいので、譲渡を希望される方も多く、競争率が高かったんです。
その譲渡会では、「1日に何時間、家をあけているか?」と質問され、私は店で仕事しているし、両親とも同居していて、誰かがいつもいるので「0時間」と答えました。それと、子猫たちのうち2匹を同時に引き取りたい、とも申し上げていました。もしかしたらそれらがよかったのかもしれません。結局、白い子猫3匹のうちの2匹を私が引き取ることになったんです。それがカブとアブです。