流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「愛の不時着」がテーマ。日本で今年2月からNetflixで配信された韓流ドラマが大ヒットした要因を、実際に視聴した筆者が分析する。
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近頃はコロナ禍が第2波に突入し、不要不急の外出を基本的に控えて極力自宅で過ごすようになりました。
平日の昼間は、テレビではワイドショーやニュースの情報番組が多く、仕事柄チェックするので、それ以外の時間帯は動画の見放題のサブスクリプションにお世話になる事が多い。3月は「鬼滅の刃」を一挙に観て楽しみましたが、今は、Netflixの「愛の不時着」にどっぷりハマっています。遅ればせながらの韓流ドラマデビューで、エピソード5まで一挙観しましたが、際限なくなってしまうので1日1話限定の自分ルールを決めて視聴しているほどです。
「愛の不時着」 は、韓国の財閥令嬢で会社の女性社長であるセリのパラグライダーが嵐に巻き込まれて、38度線を超えてしまい、北朝鮮に不時着。軍人エリートのリと出会い叶わぬ恋のラブストーリーが展開される物語です。
Netflixで世界的人気になっていますが、1話の制作費が1億7500万円と日本の民放のドラマの3〜9倍で潤沢な資金があることと、2人の主演俳優の魅力も人気に拍車をかけているようです。
ヒロインのセリは、韓国のセレブ生活では貝料理のブイヤベースとソーヴィニョン・ブラン(白ワイン)しか飲まないのに、北朝鮮の制限された生活の質素なバーベキューで貝焼きと貝殻に焼酎を入れておいしく食べて飲むシーンがあります。
コロナ禍では旅行やイベントや飲み会などの「非日常」で過ごす事が少なく、日常の中に喜びを探し続ける生活となっているので、北朝鮮で日常の楽しさと遭遇するセリの生活と結びつけて見ている視聴者の共感を呼び、世界的中ヒットに繋がっている理由となっていそうです。
また、日本では隣国にも関わらず、北朝鮮や38度線についてニュースの限られた情報しかないため、北朝鮮の人々の生活がリアルに描がかれていると言われている物語の情景に引き込まれていく要因ともなっています。
原稿を書いている今も続きが観たいですが、見終わってロスにならないように、僕が日本最大のサブスクリプションと思っているNHKの朝ドラ「エール」と大河ドラマ「麒麟が来る」の放送再開を心待ちにしている自分がいます。