推しの写真やフィギュアもOK 京都の仏壇老舗子会社が斬新な製品を発売

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 「推し」の写真やフィギュアを置いてもOK-。自分の大事なものをしまっておくのにぴったりな物入れを、京都の仏壇老舗の子会社が販売し始めました。なぜ、このような商品を手がけるようになったのでしょうか。社長に聞きました。

 会社は京都の仏壇と仏具の老舗、小堀の子会社ホゥリーズ(京都市下京区)です。ホゥリーズの梅本卓爾社長(49)によると、会社設立のきっかけは仏壇・仏具業界の不振にあるといいます。近年、仏間のある家は減り、大型の仏壇は売れなくなってきました。

 業界各社は、洋風の間取りでも合うような小型でおしゃれな仏壇も制作してきましたが、先祖代々の宗旨や菩提(ぼだい)寺を知る人も減り、厳しい状況に置かれています。

 「日本人の宗教意識は低下していると言われますが、向き合い方だけが変わったのではないでしょうか。宗教や教義にとらわれない祈りが存在するはずです」と梅本社長は言います。そうしたニーズに応えるために新会社を設立し、従来にない商品を開発し、販売を始めました。

 尊いものを祭る場所である以上、神聖さは不可欠です。厳かな雰囲気を醸し出すため、作品は仏壇を作ってきた一流の職人が手がけています。

 親会社の社屋に設けた展示場には、多彩なラインアップが並びます。京都の特産品である北山杉を用いたシリーズでは、円柱状の部材をくりぬき、中央部に金箔(きんぱく)を押した「厨子(ずし)」という造りになっています。

 厨子の部分には見本として、故人の名を記した過去帳やフクロウの人形を置いています。仏壇のように遺影だけでなく、大事なものを保管しておく用途を想定してデザインしてあるので、亡きペットの写真や大切にしているフィギュア、はたまた「推し」の芸能人の写真を入れても違和感はなさそうです。ほかにも、仏像を安置できる六角形の厨子もあります。

 梅本社長は「従来の仏壇は亡き人と向き合う場所でした。しかし、ホゥリーズの作品は弔事にこだわらず、自分のパワースポットとして大事にしてもらいたい」と言います。

 肝心の値段は少し高め。多くが10万円以上します。厳選した本当に大切なものを置くには最適かもしれません。

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