宝塚歌劇団の熱心なファン、いわゆる「ヅカオタ」が、贔屓のジェンヌさんを思って自作した漫画「贔屓のうた」が、ヅカオタ界隈にとどまらず、「心に“推し”を抱える全人類に刺さる」とネット上で共感の嵐を巻き起こしている。贔屓に手紙を渡しておきながら、「読む時間があるならそれを睡眠に充ててくれないか」と懇願してしまう複雑なファン心理を、切実かつユーモラスに表現。作者のさんかくさん(@sanmaru115)に話を聞いた。
「贔屓のうた」は「なぜそんなに足が長いの」「なぜそんなに顔が小さい」と贔屓に切々と語り掛ける内容で、歌詞が進むにつれてその思いは静かにヒートアップ。「今日も朝から晩までお稽古なのか」「また痩せたんじゃないのか」「贔屓 大丈夫なのか…贔屓…」と贔屓の身を案じて落ち着きを失い始め、最終的に「生まれてきてくれてありがとう」「タカラジェンヌになってくれてありがとう」とただひたすらに感謝する境地に至る。
さんかくさんのヅカオタ歴は5、6年。まずは軽い気持ちで好きな演目を尋ねてみたところ、「『金色の砂漠』『ハンナのお花屋さん』『ポーの一族』『グランドホテル』『オーシャンズ11』などなど他にもたくさん…選びきれません…」といきなり困らせてしまった。すみません。
◇ ◇ ◇
―贔屓への思いを自分の胸の中に留めておくのではなく、歌にして世に放とうと思ったのはどうしてですか?
「贔屓大好き!!!(※)という気持ちが大きくなりすぎてしまい、自分の気持ちを整理しつつ初心に帰ろうと思って歌(漫画)にしてみました」
(※)ちなみにさんかくさんの今の贔屓は非公開です
―自分で手紙を書いておいておきながら、「それを読むくらいなら寝てくれ!」という愛の深さに思わず笑ってしまいました。いつ頃からこのような心境に?
「ヅカオタになりたての頃からです(笑)。贔屓に限らずジェンヌさんはみなさん本当に忙しそうで、ゆっくり寝てほしいと常日頃から願っています…。でもめちゃめちゃ長文の手紙を書いてしまう…」
―多くの人から「わかる」と反響がありましたね。
「宝塚ファンの方だけでなく、他のジャンルを応援している方からもたくさん反応を頂いて驚きました。推しを思う気持ちは共通なのだなと知ることができて良かったです」
―贔屓への思い、宝塚の魅力をあらためて教えてください。
「贔屓はいつも美しくて頑張っていて息してるだけで偉いので、これからも褒め称えていきたいと思っています」
「私にとっての宝塚は『夢』であり、『現実を生きるための活力』であり、『オタクが全員好きなもの』です。宝塚にはオタクが好きなものが本当にたくさん詰まっているので、全てのオタクは潜在的にヅカオタの素質があると勝手に思っています。なんとなく『一度は見てみたいんだよね〜』と思っている人、見ないと後悔するのでぜひ早めに見てほしいです!」
ここはひとつ、私からもお願いします(何故)。