新型コロナウイルス感染拡大の影響で、各大学はオンライン授業を実施している。学生のキャンパス立ち入りやクラブ・サークル活動を制限する大学が多く、新入生にとっては「友達づくり」が大問題。リアルな場で仲間と触れ合う機会がない現状に、親も気をもんでいる。不安の声を受け、関西大は1年生向けの友達づくり支援サイト「触れずにフレンズ」を7月1日に開設。学生の保護者組織が中心になり、新入生同士の交流を促す掲示板サイトを立ち上げた。
4月1日の入学式開催を見送った関西大では、緊急事態宣言の発令を受け春学期の授業を原則オンラインに。通学する必要がないためIT環境が整わない下宿先に住まず、故郷に戻って実家から授業を受ける一人暮らし学生が多いという。
関大生の保護者会・関西大学教育後援会は、一人暮らし新入生の友達づくりを目的とした立食パーティー形式の「新入生歓迎の集い」を2年前から開催してきた。昨年はOBでお笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太さん(43)もサプライズ登場。参加した1000人の新入生が友達づくりに励んだ。
コロナの影響で今年の歓迎の集いは中止に。クラブ・サークルの勧誘も、ビデオ会議システムZoom(ズーム)によるオンライン勧誘が主流だ。ベネッセi―キャリアが実施したアンケート調査では、全国の新入生が抱える一番の不安として「友達づくり」が「生活費等の金銭面」を抑えてトップになった。
関西大に入学した新入生の保護者からは、子どもに大学で友達ができないことへの不安の声が多く寄せられた。中には「慣れない土地で友達も作れずに一人で暮らしている子どもの様子が気になる」との切実な訴えも。同後援会の吹田康雄会長(57)や川畑一成幹事長(61)らが中心となり、ウェブ上での新入生交流サイト構築を発案。大学内の協力を得ながら、約1カ月で掲示板サイト「触れずにフレンズ」を立ち上げた。
“触れフレ”の掲示板は出身地や所属学部、趣味や先輩への相談コーナーなどのカテゴリー別に分かれ、学生が新しくスレッドも立てることが可能。利用は約7000人の新入生が対象で、大学入学時に付与された個人ID認証が必要。実名で自由に意見交換ができる。
いわば学内版“出会い系サイト”だが、大学の保護者組織が運営し、利用者を関大生に限定することで安全性を確保。教職員もサポート役として参加し、掲示板“荒らし”の可能性を排除する。コロナ禍で、学生の友達づくりを大学が積極的に支援するのは異例。将来は1年生だけでなく、先輩や卒業生とも交流できる掲示板に育てていくつもりだ。
関西大では9月に始まる秋学期から、対面型授業を本格的に再開させる方針。川畑幹事長は「誰も友達がいない、ポツンと独りでいる新入生を一人も出したくない。9月にキャンパスで会おうよという友達を作って欲しい」と“触れフレ”で友達づくりを全力応援する。