ボーガンで家族3人殺害の大学生に強い殺意と計画性…「銃規制の対象に法整備を」小川氏が提言

小川 泰平 小川 泰平
本来は競技用だが、人を殺傷するために悪用されるケースもあったボーガン※この用具は事件とは関係ありません(提供・小川泰平氏)
本来は競技用だが、人を殺傷するために悪用されるケースもあったボーガン※この用具は事件とは関係ありません(提供・小川泰平氏)

 兵庫県宝塚市の住宅で4人がボーガンで撃たれ、祖母、母、弟の家族3人が死亡し、伯母が重傷を負った事件で、私立大4年野津英滉容疑者(23)が殺人未遂容疑で逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は5日、当サイトの取材に対し、競技用として銃規制のないボーガンが「強い殺意と計画性」に基づいて使われた事例として「規制の対象にすべき」と提言した。

 兵庫県警によると、死亡したのは野津容疑者の母マユミさん(47)と祖母好美さん(75)、弟英志さん(22)の3人で、別々の部屋で倒れていた。母と祖母には1本ずつ、弟には2本、いずれも頭部に矢が刺さっていた。別居の伯母百合江さん(49)は首を撃たれ、4日午前に近所に助けを求めた。

 現行犯逮捕された同容疑者は、百合江さんに対して「電話で自宅に呼び出した」と供述していることが分かった。死亡した家族3人とはもみ合った形跡がないことから、県警はいきなり3人を襲った後、到着した伯母を玄関付近で撃ったとみて調べている。

 小川氏は「伯母を電話で呼び出していたり、みんな頭部を狙われている。強い殺意の表れがあり、計画性があると思われる。今後は動機が焦点となり、いつから、どのような理由で計画していたのかがポイントになる。1人ではなく、家族や親せきを狙った背景に何があったのか。他の凶器ではなくボーガンを使った理由、購入した時期、この犯行のため買って使ったのかなど、慎重に調べていくことになります」と説明した。

 ボーガンは離れた場所から的を狙う競技で、国際大会もある。銃規制の対象にはなっていないが、射撃用具がこれまで殺人事件や殺人未遂事件に使われてきた前例もあった。

 小川氏は「何年も前からボーガンを使った犯罪があった。銃は所持すること自体規制されているが、ボーガンは競技用として、販売を制限する法規制はない。対面で買うお店ならば、住所、氏名、連絡先など身分を確認しているところもあるが、それは販売店任せ。ネットのオンラインショップでは気軽に購入できる。登録制でもなければ、免許も不要。だが、殺傷能力がある」と指摘した。

 国会でボーガン規制が議題にあがったこともあったが、一部地域の条例で18歳未満への販売が禁じられているケースはあっても、法規制はされていない。

 小川氏は「以前からボーガンで動物を撃ったり、通りすがりの人に向けて無差別に撃ったりする犯罪があったが、今回は強い殺意と計画性があり、3人が亡くなっている。そうした事件が起きた当時から言われてきたことであるが、法整備の必要があるのではないか。登録制や免許制にすべきではないか。今回のような犯罪にも使われるという事で、ボーガンは銃器として規制の対象となるように考えなければならない時期になっている」と提言した。

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