元農水次官の長男殺害事件 70代父親が口論からパニックか

小川 泰平 小川 泰平
送検のため警視庁練馬署を出る熊沢英昭容疑者=3日午前8時29分(提供・共同通信社)
送検のため警視庁練馬署を出る熊沢英昭容疑者=3日午前8時29分(提供・共同通信社)

 元農林水産省事務次官の熊澤英昭容疑者(76)が今月1日に長男の無職・熊澤英一郎さん(44)を包丁で刺した殺人未遂容疑で警視庁練馬署に逮捕され、3日に殺人容疑で送検された事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はデイリースポーツの取材に対し、同容疑者の動機について分析した。

「息子を殺すしかない」

 同署によると、熊澤容疑者は1日午後、東京・練馬区の自宅で、英一郎さんの胸など上半身を十数か所、包丁で刺して殺害した疑い。英一郎さんは10年以上前から実家を離れていたが、10日ほど前に実家に戻っていた。殺害される直前まで更新していたツイッターのアカウントには本名も公表。連日プレイしていたオンラインゲームについてのコメントが中心だったが、両親に関する投稿もあった。

 熊澤容疑者は取り調べに対し「川崎の殺傷事件を知り、長男が人に危害を加えるかもしれないとも思った」という趣旨の供述をしており、事件直前には、近所の小学校であった運動会の音が「うるさい」と腹を立てた長男と口論になっていたという。自宅からは「息子を殺すしかない」という同容疑者の書き置きが発見されている。

 小川氏は「容疑者の供述によると、長男は“ひきこもり”がちだったという話だが、それは実家に戻ってからの10日間だけを見てそう言っているのか、それ以前からそうだったのか。また『家庭内暴力があった』ということだが、どういう暴力だったのか。なぜ警察に相談できなかったのか。ひきこもり、ゲームのワードが出ると犯罪者予備軍のように思われる風潮があるが、必ずしもそうではない」と事件の背景にある不明点を指摘した。

 現時点での着目点は、小学校の運動会に対して、英一郎さんが「うるさい」と立腹し、同容疑者と口論になったという供述だ。

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