アニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオ(京都市伏見区)で昨年7月、36人が犠牲となった放火殺人事件で、京都府警が殺人や現住建造物等放火などの疑いで、さいたま市見沼区の無職青葉真司容疑者(42)を逮捕したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は27日、当サイトの取材に対し、全身に重いやけどを負っている同容疑者を今回のタイミングで逮捕した背景を分析した上で、「一番の焦点は犯行動機。そして、計画性」と指摘した。
青葉容疑者は重症となったやけどの治療に加え、全国に感染が広がった新型コロナウイルスの影響もあり、事件発生から10カ月を経ての逮捕となった。府警によると同容疑者は「間違いありません」と容疑を認めており、27日午前に京都市内の病院で青葉容疑者を逮捕し、介護用車両で伏見署に移送した。
同容疑者はこの日、ストレッチャーに乗せられた状態で移送先の伏見署に入る姿が報じられた。指先は黒く変色し、顔面にもやけどの痕が見て取れた。まだ回復には遠い状態とみられるタイミングでの逮捕の裏には、どのような事情があったのだろうか。
小川氏は「今年2月頃に逮捕されるという情報もあったが、コロナ禍の影響もあって、その時期はなくなった。だが、その後も、入院先の病室で事情聴取は行われており、その中で、容疑者は事件に関し、ある程度の話をし、容疑も認めている。そうでなければ、全身の7-9割にやけどを負い、今も自力で歩行もできず、治療を要する状態で逮捕はしない。ある程度の会話はでき、容疑を認めていることを踏まえ、勾留に耐えられると判断されたことから今回の逮捕に至ったと考えられます」と背景を分析した。
その上で、小川氏は「今後の取り調べにおいて、一番の焦点は犯行の動機。そして、計画性の有無になります」と指摘した。
「動機」について、小川氏は「青葉容疑者は『小説を盗まれたのでやった』と語ったと報じられていますが、それが本当かどうか」と一例を挙げた。その「小説」とは、京アニがアニメ化などを前提に公募していたものを指すのかなど、今後の捜査において焦点の一つとなる。
さらに、小川氏は「実際に『無差別』だったのか、『その中にターゲットとなる人物がいたのか』なども調べていくことになります」と、計画性の有無についても鋭意取り調べが進められていくことを示した。