1年限定の消費税ゼロと10万円の現金給付で、約40兆円の経済効果に期待

須田慎一郎のマネー論

須田 慎一郎 須田 慎一郎

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、政府は早くても5月末になるという現金給付のほか、商品券の配布、外食や旅行代の一部助成などを検討しているが、消費税減税に関しては見送られる公算が大きい。ジャーナリストの須田慎一郎氏は当サイトの取材に対し、10%の消費税を「1年間」をめどに期間限定で0%とし、さらに10万円の現金給付によって「消費するマインド」を作り、この2点を合わせることで1年間で合計約40兆円の経済効果があると提言した。

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 今、起ころうとしている危機は何なのかを正しく理解しなくてはならない。2008年のリーマン・ショックは、住宅ローン担保証券のバブルが破裂し、金融機関が多額の不良債権を抱え込こむことになった。そのことで金融危機が発生し、実体経済が大きくマイナスの影響を被ることになった。

 それに対し、今回のコロナ・ショックは国や都市の封鎖、あるいは自粛活動によって生産活動が停滞し、実体経済がマイナスとなっている。企業は資金繰りができなくなって倒産し、多額の不良債権が発生して金融システムが機能不全に陥ることが予想される。リーマン・ショックとはたどった順番が違う。

 飲食、サービス業をはじめ、企業にとっても売り上げが落ちている。例えば、バス会社も4月に予約がゼロとなっても、コロナが収束する時を考えるとドライバーを解雇することはできず、人件費が垂れ流しになって赤字になっている。

 対策として2つある。

 一つは、1人当たり10万円の現金給付。これは企業や商店の売り上げが大きく落ち込んでいるのをカバーすることを目的としたものだ。もう一つが消費税減税。10%の消費税を期間限定でゼロにすること。その期間は当面1年と考えられる。「消費税ゼロ」と「1人当たり10万円」の一律給付を両方やって約40兆円。その額を政府が負担する。その2つを合わせることで、1年間で約40兆円の経済効果がある。

 リーマン・ショックの時は1万2000円が給付されたが、2割しか使われず、貯蓄にあてられた。それを今回は10万円とし、消費税ゼロとワンパックにすることで「お金を使うマインド」が沸いてくる。どちらか一方だけだと効果が出ない。

 ちなみに、これが商品券だけだと、それを使って終わりだ。波及効果がない。個人や企業がお金を使わなくなると、企業倒産や失業率が高まり、銀行倒産も起き、実体経済の低迷で金融危機となる。企業の生産活動に関係させるという意味でも、一律10万円給付と消費税ゼロによって、お金を使う動機づけとすること。そして、そのモチベーションを高めていくことが期待される。

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