「#エア科学館」やってます  年間来館者数の記録更新目前で臨時休館…SNSでは“開館”してます

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 新型コロナウイルスの影響で学校が休校となり、多くの博物館や図書館などの公共施設も臨時休館している。どこかに出かけたくても出かける場所が無いような状況が続き、自宅にこもりがちになっている人も多いことだろう。そんな人々を「科学」の話題で楽しませようと、大阪市立科学館では今月上旬からツイッターで「#エア科学館」を始めた。

 発案したのは、同館副館長の冨田和俊さんと、学芸課長代理で天文担当の渡部義弥さん。「外出先が制限される中、自宅にいながら少しでも科学を楽しんでもらえる方法はないだろうか」と考え、ツイッターでの「開館」を決めたという。

 投稿するのは11人の学芸員と齋藤吉彦館長。初回ツイートの動画では、齋藤館長が華麗なコマさばきを披露しながら、自らもくるりと一回転。コマの首振り運動(歳差運動)についての説明も添えられている。科学好きな人ならここから更に興味を深めていけるだろうし、科学に詳しくない人でも思わず目を奪われてしまう。

 その後も、「金星の満ち欠け」や、「昔の計算機の仕組み」などについて解説したユニークな投稿が続き、時にはプラネタリウムの座席を修繕する様子なども公開され、普段の開館を支える作業を垣間見ることもできる。

 同館で以前から運用するツイッターをはじめ、全国の博物館が参加する「#エア博物館」などでも不定期で発信しているが、この「#エア科学館」では「必ず毎日投稿する」というルールを設け、本来なら実際に館内で体験してもらえるはずの展示内容を中心に紹介している。他の科学館にも参加を呼び掛けているところだ。

 例年、3月の来館者数は4~5万人。春休みの学生たちや「お別れ遠足」の幼稚園・保育園児らが訪れて大にぎわいとなるところだが、臨時休館になったことで、あらゆるイベントや講演会が中止に追い込まれている。今年度の同館はリニューアルしたこともあり、年間の来館者数が過去最高の75万7833人を軽く上回るペースだったが、その記録に届く「あと76人」を目前とした 75万7757人で一旦ストップした。再開の時期も、当初予定していた3月17日から延長となり、未定のままだ。

 「今月中にあと1日でも開館できれば、過去最高を超えるのに…。でも、まだあきらめてはいません!いつ開館してもいいように、常に準備しています」と渡部さん。「30年勤務してきましたが、改修工事など以外でこんなに長く休館した経験はありません。お客さんに来てもらえないというのは、我々にとって一番つらいことです。それはどこの博物館も同じ気持ちだと思います」とも語る。

 冨田さんは「今はとにかく与えられた条件の中でできることをやるしかない。臨時休館というピンチを逆にチャンスに変えるぐらいの気持ちで、休館前よりも喜んでもらえるような企画を考えて準備しているので、楽しみにしていてください」と話してくれた。

 休館明けには、オリジナルのプラネタリウム「HAYABUSA2」の投影や、企画展「はやぶさ帰還10周年」、大正製薬(株)とコラボした「リポビタンD はやぶさ2限定ボトル」の特別限定販売などを予定している。また、同館所蔵の貴重な資料も一挙に公開する。ガリレオ・ガリレイの著書「天文対話」の初版本は、同館では約10年ぶりの蔵出しとなる。

▽ツイッター「#エア科学館」https://twitter.com/gakugei_osm/status/1235788033518997505

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