【対応のポイント】
ではどのような対応が必要なのでしょう。
①環境設定
思いきり活動できるスペースを設け、トランポリンや遊具でサーキットを組むなどし、子どもが欲する感覚を満たす空間を作ると効果的です。逆に、狭い空間を好む子どもに対しては、小屋のようなスペースを作ってあげると気持ちを落ちつけさせる効果があります。
手や身体の表面に入る感覚を求める子どもの場合は、触覚刺激につながるおもちゃやグッズ(プチプチのような緩衝材やスクイーズやスライム等)で遊ばせると、気持ちが落着きやすくなります。ぎゅっと抱っこされることを好むなど、圧迫刺激を好む子どもには、寝る時の布団を毛布ではなく、重みのある布団を準備しておくとよいでしょう。
②人的配慮
配給やトイレで並んで待つのが難しい場合、長い列を複数に分けて、あと何人待てばよいか視覚的に分かりやすい状況を作ると安心につながります。これは一般の方のストレス解消にもつながると思います。
また、保護者が周囲に気遣って疲弊してしまうことも予測されます。例えば「動き回るのはしつけのせいではなく、子どもの特性」「制止するだけでは行動はおさまらない」「子どもの求めている感覚を満たしてあげることが、落ち着くことに繋がる」―といった理解を進め、行政を中心に啓発活動を行うことも重要でしょう。
③事前準備
ご家庭では、子どもの好きな感覚(揺れが好き、飛び跳ねることが好き、何かにくるまるのが好きなど)を知っておき、周りの人に伝えられるように準備しておきます。骨や筋肉に感覚刺激を求めるタイプなら、硬いものを噛むと少し満たされることもありますので、「子どもが好きな味」で「バリバリ噛んで食べられる」お菓子などを準備しておくのも効果的でしょう。
【ただ叱るのは負の連鎖を呼ぶ】
繰り返しになりますが、じっとできず動き回るのは「視界や耳に入った刺激が気になって、確かめたくなる」ことや「動いている感覚が心地よく感じるから」といった、感覚刺激を求めていることが理由となっています。
ですから、「どうしてじっとできないの?」や「我慢しなさい」といった声かけは、子どもの不安を余計に増大させることにつながり、不安感からより動き回ることにつながってしまいかねません。求める感覚刺激は、子どもによって一人ひとり違います。「違う」ことを前提として、子どもたちが求めていることに耳を傾けることが一番重要ではないでしょうか。