新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、京都市右京区の世界遺産・仁和寺が、特製のマスクを作り、拝観者に配布を始めました。和紙を折りたたんで作られたマスクには、人々を病苦から救うとされる薬師如来を表す梵字[ぼんじ]のはんこが押されています。さて、そのご利益のほどは…。
マスクは縦約9センチ、横約20センチ。奉書紙と呼ばれる和紙を六つ折りし、穴を開けて耳に掛けるひもを通したものです。奉書紙には薬師如来の梵字がはんこで押してあります。本来は、仏前に花を供える「献華」などの際に着用するもので、「覆面」と呼ばれています。「不浄な自分の息を清浄なものに掛けない」ようにするために使うといいます。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国のレジャー施設や博物館、美術館などの休止が相次ぐ一方、仁和寺は御殿の拝観を継続しています。感染拡大を防ごうと、寺の実務トップである吉田正裕執行長(59)が拝観者に特製マスクを無料で配布することを発案。実際に3月1日から配り始めました。
特製マスクは僧侶や職員の手作り。奉書紙を折り、朱印を押し、パンチで空けた穴にひもを通すという工程で、毎日約200個を作っています。できあがった後は、霊明殿で営む毎朝の勤行に合わせて、薬師如来像の前にお供えし、祈願しているそうです。
吉田執行長は「あくまで儀礼用ですが、マスク着用意識を高める機会になればと思っています。さらに、御殿北側にある霊明殿で、薬師如来を拝んでほしい」と参拝を呼び掛けます。
御殿拝観は午前9時から始まり、午後4時半受付終了です。拝観料が必要です。