新型コロナで不足のマスク以外も…品薄商品を高額転売する「転売ヤー」、規制が必要な時期に

「渡辺広明の最新流通論」

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「転売ヤー」。入手困難な商品を転売目的で買い集め、高額で販売して利益を得る人たちのことだ。新型コロナウイルスの感染拡大によって店頭から姿を消したマスクをはじめ、レアな商品を買い占めた転売ヤーがフリマアプリなどに高額出品して社会問題にもなっている。「心」や「モラル」ではなく「金」。渡辺氏がその実情を紹介する

罰則する法律は?

 コンビニバイヤー15年の私も「転売ヤー」には当然なったことはありません。「転売ヤー」とは、転売とバイヤーの造語で、メルカリなどのフリーマケットアプリが一般的となり、誰もが商品を売り買いできる転売ヤーに簡単になれる環境が整っています。

 最近では、コロナウイルスによるマスク品薄での、高額販売はSNS上を中心に嫌悪感も広がり、フリマ各社がマスク取引に関する協力のお願いを出し、ヤフオク!のガイドラインでは、出品禁止物として「災害などの緊急事態において、供給不足により人の身体・生命に影響がある物品を不当な利益を得る目的で入手し、出品していると当社が判断する出品」条項が追記されました。

 転売ヤーの販売にはいくつか種類があり、長年愛された商品が販売中止を発表パターン。現状ではノザキのコンビーフのリニューアルに伴う、巻き取り鍵の枕缶での販売が終了。少し前では森永のチョコフレークの販売終了などがあります。メーカーとしては販売中止の前に買ってくれていたらとの思いもあるものの、ノスタルジーやもう二度食べられなくなるんだったら…という消費者心理には抗えず。転売ヤーは3〜5倍の価格で販売していました。

 また、地域限定かつ通販で販売していない商品の販売のケースもあり、お土産で人気のうなぎパイがそれにあたります。地元に来て買って欲しいというブランディングと商品が割れやすいためとの特性上、通販では販売していない。「闇うなぎパイ」と呼ばれたりして、フリマに随時出店されています。

 転売は社会通念上、心が痛みますが、罰則する法律はないのです。ただし、チケットは東京五輪を見据えて不正転売禁止法が2019年6月に施行されました。課題はあるようですが、商品の転売についても一定の規制が必要な時期なのかもしれません。

 著名人のサイン色紙やコンビニのアイドルやアニメのキャンペーンの販促物の転売など目に余るものも多いのも事実です。

 フリマアプリは、不要な物を売買できて、エコロジー、地理的制約で買い物できない人が気軽に購買できる。自分の欲しいマニアックな物との出会いがあるなど、素晴らしい仕組みです。私も自宅が散らかってきたので春到来に向けてフリマアプリを適切に活用してみたいと思います。

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