感染拡大が続く新型コロナウイルス。政府の要請に基づく一斉休校が2日から始まり、イベントの中止も相次ぐ中、それに先立つ形で先月末、高知県が県民向けに出した宴会の場での「献杯・返杯」の自粛要請が「さすが高知!」「って何それ??」とネット上で話題になっています。
要請は先月27日のもの。手洗い、咳エチケットなどに続き、『献杯・返杯については高知の文化ではありますが(中略)自粛を』と記されています。担当者は「この前日、政府からイベント自粛の要請があり、県でも県民の皆様へメッセージを出さなければ…と項目を議論している中で『これは入れないと』となりました」と振り返ります。
曰く、「高知県では飲み会といえば冠婚葬祭の違いや規模に関わらず、献杯・返杯が行われます。同じ杯やコップを使うワケですから、いわば間接キス。ただの宴会より濃厚接触になりますし、リスクは高い、と」とか。た、確かにそうですが…。
そこで県内18の蔵元が加盟する県酒造組合のHPにある「土佐の酒文化」のページを見ると、衝撃の「伝統」がつづられていました。
「藩政時代の歴代土佐藩主の殆どは愛酒家であった」と歴史をひもとくと、「土佐では淡麗辛口の地酒を豪快に飲み干すのが伝統として受け継がれている」とし、「その飲み方と言えば、豪勢な皿鉢料理を前に献杯、返杯の応酬。興に乗れば“はし拳”を打ち、敗けては飲み、勝っては飲み太平洋で獲れた脂ののった魚を肴にグイグイと飲む宴席の形ができあがった」とまるで目に浮かぶよう…そしてこう締めくくります。
「土佐の宴席には、終わりの合図はない」
国税庁のまとめでは2017年度の高知県の成人一人当たり酒類消費量は95.5リットルで東京に次ぎ全国2位。恐る恐る同組合に聞いてみると、「怖くないですよ~(笑)私もお酒は大好きですが♡」との返事が。同組合によると「献杯」は敬意を込めて目下の人から目上の人に杯を差し出す「挨拶」(!)で、杯を受けた人は飲み干して相手に返し、返された方が飲むのが「返杯」だそうです。これを誰かれかまわず繰り返すといい、「高知の宴席の卓上には、通常のビールグラスとともに献杯・返杯用の小さめの杯が必ずついています」と教えてくれました。