秋葉原の「短過ぎるエスカレーター」を現場検証~鏡のマジックによるオモシロ画像が話題に

北村 泰介 北村 泰介

 東京・秋葉原にあるという「2段しかない短すぎるエスカレーター」がSNSで話題になった。その画像が2月にツイッターに投稿されると、10万件以上の「いいね」が集まった。ゴム製の赤い手すり部分(ハンドレール)がサーキットのような楕円形をしていて、ステップが2段分しかないという不思議な光景。その真相について既に「トリック」は明かされているのだが、風景自体は今も確かに見ることができる。さっそく当該のアミューズメント施設を取材し、管理する店舗の担当者に話を聞いた。

 移動手段であるはずのエスカレーターとして意味をなさないオモシロ画像。記者は「超芸術トマソン」を連想した。階段の先で壁にぶつかったり、ただ登って降りるだけの「無用階段」のように、本来のあるべき意味を逸脱して、オブジェと化している…そんな物件である。ツイッターの画像には投稿者から「めっちゃ短いエスカレーターかと思った」というコメントが添えられ、「二度見、三度見してしまう」「えっ?乗ってすぐ終わり?」 「サイズがSカレーター」といったリプライが続いた。

 ただ、気になったのが、この「~かと思った」という表現。これが真実ならば断定してもよいはず。その翌日、投稿者は「鏡に反射して短く見えているだけで、本当に短いわけではないです。誤解を招くようなツイートをしてしまい申し訳ございません」とツイート。エスカレーターが登り切った所で、その向かって左側にある柱の鏡部分に手すりが写り、楕円形につながって見えるというわけだった。

 だが、謝ることはないと思った。これまで店内で指摘されずにいた「偶然から生じたトリックアート」を提示したことに意義がある。現物を確認しに「タイトーステーション秋葉原店」を訪ねた。

 同店のエスカレーターは昇り専用で、1階から5階まである。そのうち、投稿された「短すぎるエスカレーター」は3階にあった。大型ゲームやドライブゲームのあるフロアで、店内が明るいために分かりやすい画像が撮影できた。5階の音楽ゲームフロアでもこの光景が見られたが、照明がやや暗めになっているため、3階で見る「Sカレーター」の方が分かりやすい。

 昇り切った場所で、エスカレーターに向かって左側にある柱の鏡部分がポイント。そこに手すりが写ればトリックは完成する。ちなみに、2階はクレーンゲーム機がその前に置かれ、4階はポスターが貼られているため、鏡のマジックは「成立」していなかった。つまり、3階と5階で確認することができる。

 同店の広報担当は当サイトの取材に対し、「2004 年のオープン当時からエスカレーター自体はありましたが、これまでそのようなご指摘はありませんでしたので、我々も投稿を拝見して初めて気が付きました。本当に思いがけず当店が話題になり驚きました」と想定外の反響を受け止めた。

  担当者は「タイトーのミッションは『笑顔や新たな驚き、人と人とのつながりをご提供してまいります』なのですが、ゲーム以外のもので、お客様に笑顔や新たな驚きをご提供でき、うれしく思います」と今回の話題を歓迎。「当店では、地下1 階から5階まで様々なアーケードゲームを取り揃えて、皆様をお待ちしております。世代・性別・国籍関係なく幅広い層のお客様にお楽しみいただけるお店です。秋葉原にお越しの際はぜひタイトーステーション 秋葉原店へお立ち寄りください」とPRした。

 アキバにあった「短すぎる(ように見える)エスカレーター」。虚実皮膜の世界に遊ぶ楽しさがあった。

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