カプセルホテル止まらぬ進化…京都ではあこがれの「北欧デザイン」に 日本初「カフェ・アアルト」も併設

山本 明 山本 明

日本有数の観光地・京都に2019年12月21日、新たなカプセルホテルがオープンしました。「MAJA HOTEL KYOTO(マヤ ホテル キョウト)」。近年カプセルホテルの進化が著しいと話題になっていますが、こちらのホテルも「カプセル」というイメージからはかけ離れた、北欧の森の中の小屋のような意匠工夫が凝らされた客室です。しかも1階にはフィンランドの名建築家アルヴァ・アアルトが手掛けた「カフェ・アアルト」の2号店が日本に初上陸…というから北欧好きにはたまりません。ただし、宿泊料金は素泊まりで6000円からと、通常のビジネスホテル並み、もしくはそれ以上。強気な値段設定が気になるところですが…。

もともとカプセルホテルは「一晩、眠ること」に特化したリーズナブルな客室(カプセル)が売りものでしたが、近年話題の「進化系」カプセルホテルは、宿泊時の快適さや利便性を追求。「フリーラウンジルーム」や「コワーキングスペース」を併設したり、宿泊客がストレスなくネット環境を楽しめるよう「無線LAN」や「フリーWi-Fi」を備えていたり。「ギャラリー」や「大浴場」を楽しめるところもあります。

昨冬営業を開始した「マヤ ホテル キョウト」は京都市中京区にあり、「烏丸御池」駅から徒歩6分、市内のどこに観光に出かけるにも利便性の高い立地です。客室総数は60室。フィンランドの著名なプロダクトデザイナー、ハッリ・コスキネン氏が外観から、インテリアデザイン、館内の様々な場所を示すグラフィックまで、全てのクリエイティブ・デザインを担当しています。客室となるカプセルは三角屋根が特徴的なデザインになっており、「HUT(ハット)」と呼ばれています(HUTは英語、フィンランド語ではホテル名にもなっているMAJA(マヤ)。いずれも『小屋』の意味)。HUTには大小2サイズを用意されています。それぞれの特徴を見てみましょう。

◇「sleep in hut(スリープインハット)」は読書をするのにぴったりな小さなサイズで40室用意。屋根部分の頂点の高さは105cm、ベッドのサイズは195cm×97cmと余裕のある作り。宿泊料金は、素泊まりで6,000円から

◇「walk-in hut(ウォークインハット)」は20室用意。立つこともできるサイズで長さ215cm、屋根部分の頂点の高さ210cmの充分なスペースを確保。ベッドの下はスーツケースなど荷物を収納できます。宿泊料金は、素泊まりで9,000円から

いずれもマットレスには最上級の「エアウィーブ」を使用し、月の光のような優しい照明と、換気が行き届いています。清潔感あふれる室内で目を閉じると深い森にいるような爽やかな心地に。

筆者も入室させてもらいましたが、個人的には「スリープインハット」の方がその狭さゆえにかえって、隠れ家めいた室内の魅力が増すように感じられました。まるで森の中の巣穴で眠る、小動物のような気持ちになります。実際に宿泊客からも「ぐっすり眠れた」という感想が寄せられているそうです。

ちなみに中京区は宿泊施設の激戦区です。大手の宿泊検索サイトで仮に「河原町・烏丸・大宮周辺のホテル・宿泊施設、日付未定、大人1人、5,000円以下」で指定すると90件以上がヒットしますので、強気な値段設定とも言えるでしょう。開業してひと月を超え、今後の展望や、これまでの経緯について、同ホテルのマネージャー、池田好孝さんに聞きました。

   ◇   ◇

―そもそもなぜ「北欧テイスト」のカプセルホテルを京都に開業したのですか?

「関連会社の旅館がある道後温泉では、温泉地を舞台にした『道後オンセナート』というアートイベントが行われています。2014年のイベントの際に『ホテル・ホリゾンタル』という泊まれるアート作品の企画に参加。愛媛出身でヘルシンキ在住、日本でも人気のあるマリメッコの元デザイナー・石本藤雄氏が当ホテルの客室をディレクションしましたが、これが好評でした」

「フィンランドの美的センスと自然を愛する感性は、細やかな心づかいを誇る日本人のホテル業でのサービスと親和性が高かったのです。そこで、この精神を継承したカプセルホテルを作ろう、そしてインバウンドのお客様にも泊まっていただこう、と日本一の観光地である京都を選んで取り組むことにしました。デザイナーも北欧の人を探したいと、『道後オンセナート』の総合プロデュースを担当した東京・青山の複合文化施設『スパイラル(ワコールアートセンター)』に紹介を依頼したところ、縁があってコスキネン氏に引き受けていただきました」

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