京都市内のホテルや旅館など宿泊施設が外国人客の忘れ物に頭を悩ませている。近年の訪日外国人の急増に伴い、取り扱う忘れ物の数も増加。食品や化粧品、スマートフォン、アクセサリーなど種類は多岐にわたり、海外に送るための確認や手続きに時間と労力がかかるという。
アジアや欧米からの観光客でにぎわう木屋町通沿いにある「ソラリア西鉄ホテル京都プレミア」(中京区)。夕方になると、清掃員が客室で見つけた忘れ物が事務室に届く。11月下旬の平日には菓子パンやコーラ、肌着など約15点がかごに入っていた。「今日は少ない方。多い日はかごに収まらないほどになります」とスタッフの﨑山薫さん(25)が教えてくれた。
同ホテルの客室数は200室で、外国人客だけで1日10~30点の忘れ物があるという。月に数件は「海外まで送ってほしい」との要望を受け、担当者が配送が可能かどうかといったことから確認している。海外への配送にはさまざまな規定があり、手続きなどに悩まされることも多いという。
例えば、忘れ物に多い携帯電話やデジタルカメラなどのリチウム電池を含む製品は、電池が内蔵されていることなどの条件があり、一度に配送が可能な数量にも限りがある。化粧品や整髪料などのようにアルコールを含む製品は、アルコール濃度が24%以下でなければ送れない。現金の場合は、配達を受け付けていない国も多い。