義理チョコ文化は終わった!コンビニから見えるバレンタイン事情…「ご褒美」と「デザート」

北村 泰介 北村 泰介
トップスとチロルチョコがコラボしたセブンイレブン限定商品。デザート感のある口あたりを楽しめる
トップスとチロルチョコがコラボしたセブンイレブン限定商品。デザート感のある口あたりを楽しめる

 バレンタインデー(2月14日)を前に、コンビニエンスストア各社ではチョコレート業界とのコラボ企画が相次いでいる。流通アナリストの渡辺広明氏は当サイトの取材に対し、「義理チョコ文化がなくなったタイミングで、自分へのご褒美チョコを扱っています」と分析。コンビニから見えてくるバレンタイン事情の変化を検証した。

 セブンイレブンでは、チロルチョコの新商品「チロルチョコ〈チョコレートケーキ〉」を8日から全国で販売(取り扱いのない店舗も)。同商品は、洋菓子店「トップス」の人気商品であるチョコレートケーキをチロルチョコで再現したもので、ふかふかのスポンジケーキの食感を表現した餡とくるみを、準ミルクチョコで包んでいる。

 さっそく発売初日に購入して食べてみた。中がしっとりとしていて、安価の代名詞である、駄菓子としてのチロルチョコにささやかな「ご褒美感」が加味されていると感じた。

 「10円あったらチロルチョコ」というキャッチフレーズで知られるチロルチョコだが、現在も20円(税抜き参考価格)で販売されている。今回、セブンイレブン限定の商品は42円(同)と倍以上の金額ではあるが、それでも安いことに変わりはなく、ケーキの味覚による特別感がある。商品がなくなり次第、販売終了となる。

 渡辺氏は「トライアングルPB(プライベート・ブランド)ですね。コンビニを含めた3者によるコラボ商品です」と、チロルチョコ、トップス、セブンイレブンという3者による展開を説明。同氏は「このようなPBは店舗数が多く、購買力 販売力があるコンビニならでは。ロット数が多いコンビニでしか実現できないコラボ」と補足した。

 ファミリーマートでは「ルビーチョコレート」を使った商品を販売。スイス本社のチョコレートメーカー「バリーカレボー社」が開発した「第4カテゴリー」の新しいチョコレートとして話題になっている商品だ。また、ローソンはゴディバとコラボした「ショコラロールケーキ」を数量限定で発売中だ。

 渡辺氏は「第4のチョコレートと呼ばれているルビーチョコは、今年はファミマですが、去年はローソンでした。今年が定着の正念場ですね。(ローソンでは)普通のチョコレートから、(ショコラケーキのような)デザートになっており、自分へのご褒美として品揃えが拡大しています」と指摘した。

 「義理チョコの習慣が数年前からなくなった」と明言する渡辺氏。「コンビニのバレンタインは、平成の初めは『義理チョコ買い忘れ需要』で、2月14日の昼以降からかなり売れました」という。つまり、「女性が社内で配るチョコの数が足りなくなって、コンビニに駆け込んで買うなどして、当日の昼頃に売れていた。前日まで売れていなくても、当日昼に需要があった」(渡辺氏)ということなのだ。

 時代は変わった。近年、コンビニでバレンタイン当日の駆け込み需要はなくなった。好意を持つ相手や世話になった人などには事前にチョコを用意しても、職場での義理チョコには女性側から「出費を控えたい」という思いがあり、無理して当日にバタバタと買うことはなくなった。男性側にも「お返しするのが面倒」という声がある。そんな意識を背景に、義理チョコ文化はほぼ終焉した。

 その終わりの始まりとして、コンビニから見えてくる2020年のバレンタイン事情。ケーキなどとコラボした「デザート化」、そして「ご褒美として自分のために購入」という要素が見えている。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース