人気キャラ「柴犬ラク」の作者はプロのクラリネット奏者だった 台湾に進出で二刀流に磨き

國松 珠実 國松 珠実

 楽器と柴犬をコラボレーションさせたイラスト『柴犬ラク』が人気だ。日本原産の犬種である柴犬が西洋楽器を奏でる姿が愛らしい。特にラクの持つ楽器は細部まで丁寧に描かれており、特徴をとらえた描写が音楽家や愛好家の間で好評だ。この柴犬ラクをデザインしたグッズは、国内の大手楽器店を中心に販売され、大手メーカーとのコラボグッズもある。そして今月から台湾での販売が始まった。柴犬ラクの作者はプロのクラリネット奏者、吉田悠人さん。自宅で飼う愛犬ラクをモデルに描き始めた。音楽家とイラストレーターの2つの顔を持つ吉田さんに話を聞いた。

台湾の楽器店から直接オファー

 「初の海外進出です」という吉田さんは、フルートとサックスのラクが人気なことや、他にも売り切れのグッズが続出と、台湾での様子を楽しそうに語ってくれた。台湾好きの友人から「彼らは、日本で愛されるキャラクターやグッズを好む」と聞いていたので、台湾とラクをコラボさせたイラストをSNSに掲載したところ、昨年12月に台湾の楽器店から直接オファーが来た。ところが快諾するやいなや、今まで経験したことのない大量の発注が来て驚いたそう。海外のスピード感やエネルギーを肌で感じた。「台湾の店で入手できない商品を求め、わざわざ来日してくださったお客様もいたそうです。このご縁をきっかけに台湾でラクが愛されるようになり、ラクのイベントやクラシックのコンサートができたらうれしい」と顔をほころばせる。

 ところで、吉田さんの本業は音楽家。この取材も、クラリネット講師の仕事の合間を縫って受けてもらった。演奏会への出演や講師などをこなす音楽家の吉田さんと、イラスト描く他にイベント出店やその準備もこなす吉田さん。二足のわらじを華麗に履きこなしているが、どちらも多忙そうだ。どちらに軸足を置いているのだろう。

軸足は「もちろん音楽です」

  「もちろん音楽です」と即答した彼は、「私はプロのイラストレーターではなく、音楽家です。音楽家としての質は絶対に落とせません。『柴犬ラク』は、プロの音楽家が描くからこそ価値があるのかなと思っています」と語る。実は楽器に集中する時ほど、ラクにまつわるアイデアが湧いてくるのだそうだ。自身が演奏する時はもちろん、コンテスト会場で審査員として審査する際も、音の表現や奏者の動きからインスピレーションを得るそう。「音楽に集中する時とラクに集中する時。どちらも脳の中の、創造や芸術を司る部分が刺激されているのかも知れません」。温めておいたアイデアは、区切りがついた時に一気に形にする。「常にラクのことを考えていたら、こんなに湧いてこないでしょうね」。吉田さんの頭の中では、音楽とラクとがうまく共存している。

  音楽の枠を超え、もっと『柴犬ラク』を広めていきたいという吉田さん。そこにはラクをきっかけに演奏会に足を運ぶファンが増えたらという、音楽家としての願いも込められている。

 西洋楽器以外では、すでに雅楽の笙(しょう)の笛を演奏するラクを描いた吉田さんだが、今後は19世紀以前の西洋の古楽器、さらにバンド楽器にも挑戦したいと意欲をみせる。世界中にある楽器とコラボできる、『柴犬ラク』の可能性は無限大だ。

吉田悠人さん出演の直近の主な公演
・南こうせつwith日本センチュリー交響楽団(2月15日に豊中市立文化芸術センターにて)
http://www.toyonaka-hall.jp/event/event-15923/
・ウインドクインテット・ソノリテ meets 長富彩(4月3日にあいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホールにて)
https://phoenixhall.jp/performance/2020/04/#anchor3
※会場で柴犬ラク×ソノリテのコラボグッズを販売予定
『柴犬ラク』に会えるイベント
・デザインフェスタVol.51(4月11日〜12日に東京ビッグサイト西ホール全館にて)
https://designfesta.com
柴犬ラク公式サイト:shibainuraku.com
吉田悠人公式サイト:yutoyoshida.com

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