20年の流通業界には3つのポイント…喫煙場所の激減、レジ袋の有料化、東京五輪開催

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「2020年の流通業界」。激動の時代に3つのポイントを挙げた。

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 2020年の流通業界は激動の年となりそうです。増税後の昨年10月、総務省が発表した家計調査によると、2人世帯以上の消費支出は27万9671円で、前年比5・1%減と増税の反動はあるものの、先行きの不安も感じる厳しい数値となっています。

 そんな2020年は、流通業界にとっては3つの大きなポイントがあると考えられます。

 1つ目は4月から受動喫煙の健康推進増進法のルールができてタバコの吸える場所が激減する事です。

 望まない受動喫煙をなくすという観点から、特に飲食店での原則屋内禁煙が大きな影響を与えそうです。加熱式たばこの喫煙室での喫煙可や個人や中小企業の飲食店かつ客席面積100平方メートル以下の飲食店を除くなどの経過措置はあるものの、20歳以上人口の17・7%を占める喫煙者の動向は消費に大きな影響を与えそうです。

 2つ目は、7月から始まるレジ袋の有料化です。

 プラスチックゴミ削減は世界的な目標で、特に1年で国民が平均138回買い物をするコンビニでの有料化は、まだ各社の方針は正式に発表されていませんが、国民のエコ意識を大きく前向きに変えることになるでしょう。

 エコバックを持ち歩くと、それに入る分しか買い物しないという側面もあり、このあたりが消費の動向に影響も注視する必要があるでしょう。

 3つ目は東京五輪・パラリンピックの開催です。順調に伸びる訪日外国人客が世界のトップクラスの観光立国になるかの分岐点となると思います。

 中国・韓国・台湾のアジア中心から、経済成長著しい東南アジア、欧米を中心とする全世界の観光客を今後取り込んで、大阪万博への弾みをつけられるかは今回のオリパラが試金石となるでしょう。

 約3500万人の来日が予測される中、世界一の観光立国フランスの約8686万人の背中は遠いですが、オリパラは東京中心になりますが、日本のおもてなし力を発揮するチャンスです。また、きめ細やかな、中食やお菓子・日用品などの日本の商品が世界に広がる機会ともなりそうです。

 2020年は、流通業界全般にとってエポックメーキングの年となることは間違いありません。

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