平成型の過剰で便利なコンビニが令和の日本から消える!?…コンビニの悲鳴は日本の悲鳴

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「コンビニ問題の総括と未来の処方箋」。27日に著書「コンビニが日本から消えたなら」を緊急発売した渡辺氏が、変わりゆくコンビニの未来を予測した。

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 24時間・年中無休・全国一律サービス…。コンビニの当たり前の、いやいや過剰に便利なサービスが平成と共に徐々に終わりを告げそうです。

 僕は平成の30年間は、主にコンビニを仕事として向き合い、日本式コンビニの歴史の3分の2を実体験してきました。

 そして、この令和の始まりがコンビニの激動の転機となったことは間違いなく、そんな年の瀬だからこそ12月27日に「コンビニが日本から消えたなら」(KKベストセラーズ)を緊急発売することにしました。業界の雄セブンイレブンを中心に頻発したさまざまなコンビニ問題の総括と未来の処方箋を書き記しました。

 人手不足での24時間・正月営業の限界。人口減少による出店大幅増のストップ。経済シュリンクする中の追い込まれたビジネスパーソンのおでん無断発注。キャッシュレスへの焦りによる7payの躓(つまづ)き。そして、極めつけはアルバイトの残業代未払い…と、膿(うみ)が噴出し、お客さまのニーズに変化対応したフランチャイズシステムが悲鳴をあげました。国民のほとんどが利用するコンビニは日本の縮図。コンビニの悲鳴は日本の悲鳴と言っても過言ではありません。

 2020年のコンビニは、食品ロス、7月から始まるレジ袋有料化など、エコへのさらなる取り組み、東京五輪のインバウンド顧客への対応と、社会問題の解決にも迫られ、世界最高のリアル小売業は、内包する問題を片付けつつ、進化しなければ生き残れない環境となっています。

 一方、ローソンの中国事業が進出から24年目の2020年営業黒字に転換します。日本式コンビニは一般の国民が豊かになると事業が成り立つと言われています。今後、経済発展著しい東南アジアでも期待が持てそうです。噴出するさまざまな問題への取り組みは、コンビニが世界に行くための試練で乗り越えれば、日本と同様のサービスのあるコンビニがアジア各地で見られるようになるのもそう遠い未来でないでしょう。

 年末は、そんなコンビニのレジに立ち日本の未来を体感してみたいと思っています。そして、読者の皆さまはぜひ新刊で(笑)。

【渡辺氏の新刊情報】

「コンビニが日本から消えたなら」(12月27日発売、KKベストセラーズ、税抜1500円)

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