おはぎちゃんは、畳屋さんの作業場に、たった1匹で座っていた。人が近づいても逃げる気配すらない。猫ボランティアをしている尚子さんが保護すると、首をかしげてばかりいる。おかしいなと思い動物病院に連れて行くと三半規管に異常があったので、尚子さんは、おはぎちゃんを我が子にした。
畳屋さんの作業場に佇んでいた子猫
群馬県に住む尚子さんは、保護猫の譲渡活動などのボランティアをしている。2016年9月の動物愛護習慣が始まる日、尚子さんの家の隣の畳屋さんの作業場に1匹の子猫がちょこんと座っていた。人が来ても逃げずに、そのまま佇んでいた。尚子さんが来るまで、子猫はレジのカウンターの上でじっとしていたという。尚子さんは、ちょいとつまんで子猫を保護した。
現れた日がお彼岸で、白黒の猫だったので、おはぎという名前にした。
ごはんを食べて、シャンプーをしたら、おはぎちゃんは喉をゴロゴロ鳴らしてくつろいでいた。
三半規管に異常
おはぎちゃんは、なぜかよく転んで、90度くらい首が傾いていた。
「最初は、よく首をかしげる子だなと思いました。脳に障害があるのかと思い、病院に連れて行ったら、耳ダニにやられていて、三半規管に異常があったんです。くしゃみや鼻水も止まらず、やっと耳ダニが治ってきたと思ったら真菌が出てきました」
尚子さんは、真菌が他の子に感染しないよう、おはぎちゃんに服を着せた。いつも首をかしげているし、水を飲む時も首を横に倒して飲む。
身体のバランスが取れないおはぎちゃんは、キャットタワーの上に登るのは登れるが、バランスを崩して落ちてしまう。
「降りられないと、上からニャアニャア鳴いていました」
我が子に
おはぎちゃんは人が大好きで、お客さんが来るとすり寄っていく。動物病院で診察してもらっていても、喉をゴロゴロ鳴らすので、「聴診器をあてても聞こえないよ」と先生が苦笑する。
「人懐っこいのですが、なかなか首を治すのは難しく、治療にもお金がかかるので、信頼して預けられる人を探すのは大変だと思いました」
ご主人が、「4匹になってしまうけど、うちの子にしてもいいよ」と言ってくれたので、尚子さんはおはぎちゃんと、もう1匹別の経緯で保護したナッツくんを我が子にすることにした。
「無理に里親さんを探して、万が一、面倒を見てもらえないと大変なことになるんです」
おはぎちゃんより少し前にうちの子にした黒猫のナッツくんとは、年齢が近いので大の仲良し。
「猫だんごになっていたり、グルーミングしあったりしています。寒い時期にお互いくっついて寝ているのを見ると癒されます」