「さて……ご縁あって、この度我が家に黒いちいさなふわふわちゃんをお迎えさせていただくことになりました」とのコメントを投稿したのは、X(旧Twitter)ユーザー・酸塊ナツメさん(@rubyredjam)。2024年10月、元保護猫の男の子「ひゃくちゃん」をお迎えしたのです。
現在、海外で暮らしている飼い主さん。ひゃくちゃんとの出会いは、とても不思議な夢がきっかけでした。
ある夜、飼い主さんは自分の子どもが猫を拾ってくる夢を見ました。その夢を子どもに話すと、子どもは「天のお告げだ」と感じたそうです。
「子どもが保護シェルターのサイトを見ていたところ、かわいらしい子猫が目に留まりました。友人と一緒に会いに行ったのですが、その子猫はすでに里親さんが決まっていました」
残念に思いながらも、ほかの猫を見ていたとき、大きな黒猫に気づきました。それがひゃくちゃんでした。
「ひゃくちゃんは、生後7カ月ころからずっとシェルターで過ごしていたようです。当時、流涙症を患っていて、心音にも雑音がありました。それを知った子どもは『今、この子を家に連れて帰らなければ、ずっとこのままになってしまう』と思ったそうです」
こうして、ひゃくちゃんは飼い主さんの家族の一員となりました。
少しずつ心を開くひゃくちゃん
新しい家での生活が始まりましたが、ひゃくちゃんは人間に慣れておらず、とても怖がりでした。
電子レンジや食洗機の音に驚いてソファの下に隠れることもあり、頭を撫でようとすると身をすくめて逃げてしまう状態でした。
「それでも、少しずつ我が家での暮らしに慣れてくれて、私たち家族がテレビを見ているとき、そっと隣に寄り添ってくれるようになりました。半年後には、初めて膝に乗ってくれました」
いろいろな大変な思いをした過去を持ちながらも、人間に心を開いてくれるひゃくちゃんの姿に、飼い主さんは「優しくて強い子だな」と感じています。
離れても続く絆とこれから
ひゃくちゃんを迎えてから、生活にも変化がありました。時間に正確で、朝は必ず6時40分に起こしに来ておやつを催促します。
「私が外出する前にはマタタビをもらい、帰宅後はごはんをもらうのがルーティンになりました。生活が規則正しくなりましたね」
現在、飼い主さんはひゃくちゃんと一緒に暮らしていません。子どもが大学進学を機に家を出ることになり、ひゃくちゃんも一緒に引っ越しをしました。
「私は子育てがひと段落してホッとする一方、ひゃくちゃんがそばにいない生活に寂しさを感じています。子どもが毎日、ひゃくちゃんとの暮らしぶりを写真や動画で送ってくれるので、それが楽しみのひとつになりました」
飼い主さんのお子さんは、ひゃくちゃんがそばにいることで学業などに励むことができているそうです。
「“ひゃくちゃん効果”はすごいなと思います。私は離れて暮らしていますが、これからも子どもとひゃくちゃんの凸凹共同生活を見守りつつ、応援していくつもりです」」
ひゃくちゃんが届けてくれる小さな幸せは、家族の心をそっと温め続けています。新たな環境でも、その穏やかな時間がずっと続いていくことを願わずにはいられません。これからも、ひゃくちゃんの優しさが大切な人たちの力になりますように。